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外国記者登録証所持者の定例記者会見への参加に関しご協力お願いの件

平成16年3月29日

会員社
編集・編成・報道局長 殿
記者クラブ 幹事 殿

社団法人日本新聞協会
編集委員会
代表幹事 阿部 雅美

 欧州連合(EU)の駐日欧州委員会代表部が、日本政府に提出している「日本の規制改革に関する優先提案」(EU提案)の中で言及した記者クラブ制度の廃止について、日本新聞協会(編集委員会・記者クラブ問題検討小委員会)は平成15(2003)年12月10日、日本における記者クラブは国民の「知る権利」の代行機関として十分機能しており、廃止要求には応じられない――と反論する見解(03年見解)を公表しました。この見解にうたわれた新聞協会の姿勢にはいささかの変化もありません。

 しかしながら、ルーシー・ブラックマンさん事件や大阪の池田小事件、さらに最近では藤井治芳・前日本道路公団総裁の更迭についての聴聞会などの取材をめぐり、一部の外国メディアが「取材源へのアクセスが阻害されている」と不満や抗議を申し立てるトラブルが続いているのは事実です。こうした外国メディアの申し立ては事実誤認や誤解に基づくものであり、EU提案にいう「記者クラブ制度が情報の自由流通の阻害要因になっている」との主張はまったく不当なものではありますが、続発するトラブルについて具体的な対応を講じないのは、新聞協会の本意ではありません。

 EU提案に対する03年見解が、新聞協会加盟社を中心とする記者クラブによる取材活動の独占や非加盟社(者)の排除を意図したものでないことはいうまでもありません。03年見解でも触れたように、新聞協会は記者クラブをより開かれたものにする努力を続けています。情報のグローバル化が加速している今日、日本に拠点をもつ外国メディアがより正確な情報を発信できるよう、彼らの取材活動を支援することも国内メディアが取り組むべき課題の一つといえます。

 以上の観点に立ち、外国メディア支援の具体的な手だてとして、各記者クラブに以下の2点を要請します。

  1. 公的機関で行われるオンレコの記者会見に(会見の主催者が公的機関であれ、記者クラブであれ)、外務省発行の外国記者登録証を所持する外国メディアの記者も参加できる原則を確認し、クラブ内での周知徹底をはかり、適切に対応する。当然ながら、記者会見への参加は、主催者が示すルールと報道倫理の順守が条件となる。
  2. 会見場のスペースが十分ではなく、希望者全員を収容しきれない場合でも、各クラブの事情が許す限り、代表取材などの形での外国メディアの会見参加を支援する。

 記者クラブ、加盟社各位におかれましては、趣旨をご理解いただき、ご協力をお願い申し上げます。

以上

参考資料

「外国記者登録証所持者の定例記者会見出席に関する協力要請」
および欧州連合(EU)駐日欧州委員会代表部との懇談について

 日本新聞協会編集委員会は、欧州連合(EU)の駐日欧州委員会代表部が、日本政府に提出した「日本の規制改革に関する優先提案」の中で、2002年、03年にわたり記者クラブ制度の廃止が盛り込まれていたことから、2002年11月に再設置した記者クラブ問題検討小委員会(編集委員会の下部組織で編集局次長クラス15社15人で構成)で対応を検討した結果、昨年12月10日、日本における記者クラブは国民の「知る権利」の代行機関として十分機能しており、廃止要求には応じられない旨の見解(03年見解)を公表し、併せて外務省にも伝えた。

 しかし、一部の外国メディアが事実誤認、誤解のもとに「取材源へのアクセスが阻害されている」と申し立てるトラブルが続いており、これを正す必要がある一方で、編集委員会としても、外国特派員の記者クラブ加入をうたった93年の見解、記者クラブを「より開かれた存在」とすべきとした2002年の見解の趣旨を踏まえ、各記者クラブに対し、以下の2点を要請することとし、3月29日付で全国の記者クラブ幹事に文書で要請した。なお、外務省からも同日、各公的機関に対し同様の趣旨の要請文を送付した。

  1. 公的機関で行われるオンレコの記者会見に(会見の主催者が公的機関であれ、記者クラブであれ)、外国記者登録証を所持する外国メディアの記者も参加できる原則を確認し、クラブ内での周知徹底をはかり、適切に対応する。当然ながら、記者会見への参加は、主催者が示すルールと報道倫理の順守が条件となる。
  2. 会見場のスペースが十分ではなく、希望者全員を収容しきれない場合でも、各クラブの事情が許す限り、代表取材などの形での外国メディアの会見参加を支援する。

 また、2月20日にブリュッセルで開催された「日・EU規制改革対話」で、日本政府はEU側に対し「記者クラブ自体は政府から独立した組織で、日本政府が廃止の是非を述べる立場にないが、外務省発行の記者登録証を持った外国報道機関の記者に記者会見へのアクセスを認めるよう、各公的機関に書簡を出すことを検討している」と政府の対応を説明した。これに対し、EU側は日本政府の対応を「建設的な解決方法で正しい方向に進んでいる」と評価したうえで、「今後の課題は、日本の公的機関がいかに具体的に、外国記者のアクセスを認めていくかだ。問題は、記者クラブ自体の廃止やオープン化ではない」との見解を示している。

 さらに、記者クラブ問題に関し、2月23日、記者クラブ問題検討小委員会幹事がEU駐日代表部と懇談した際にも、同代表部から「我々は記者クラブ制度そのものの廃止を求めているわけではなく、あくまで情報へのアクセスを求めている。個人的な関係やクラブのメンバーだけに限定されているブリーフィングや懇談にまで出席したいと言っているわけでなく、あくまで公式な記者会見への出席を求めている。記者クラブの存在が情報へのアクセスへの障害となっている点があれば改善してほしい。昨年から真摯(しんし)な取り組みをしてもらっているようだが、当然ながら、実効が上がれば優先提案から取り外すことになろう」旨の発言があった。

  • 日本新聞協会編集委員会(協会加盟の新聞・通信・放送57社の編集・報道局長で構成)
    代表幹事=阿部雅美・産経新聞東京本社編集局長
  • 記者クラブ問題検討小委員会(編集委員会の下部組織で、編集局次長クラス15社15人で構成)
    委員長=鳥海美朗・産経新聞東京本社編集局次長。

以上

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