「犯罪被害者等基本計画」案に対する意見書
2005年11月21日
内閣府
犯罪被害者等施策推進会議
会長 安倍 晋三 殿
社団法人 日本新聞協会
日本新聞協会は、先に内閣府犯罪被害者等基本計画検討会に対し、犯罪被害者等基本計画案(骨子)中の、Ⅱの第2の2「安全の確保」(2)のエ項の削除を求める意見書を提出した。しかし、同検討会はわれわれの要求を退け、ほぼ原案のまま、最終判断を貴推進会議に委ねた。これは極めて遺憾で、ここにあらためて、国民の知る権利に応えるというわれわれの使命を理解し、同項目を削除するよう求める。
われわれは、事件事故に臨み、広く社会全体で悲しみや怒りを共有し、社会が一体となって背景を探り、再発防止に取り組むために必要だと信じて報道する。被害者の実名はその核をなす情報で、正確で客観的な取材、検証、報道に欠かせない。実名、匿名発表について「個別案件ごとに適切な発表内容となるよう(警察が)配慮していく」との表現では、警察の恣(し)意的運用を招き、国民の知る権利を脅かすことになりかねないのである。
検討会で、被害者側から近年のメディア・スクラムなどについて厳しい指摘があったことは承知している。被害者やその関係者への配慮がなされるべきは言うまでもない。しかも、それは必ずしも民主主義の根幹をなす自由な取材、報道と対立しない。われわれはそう信じて、被害者らへの実名報道や取材について配慮してきたし、今後も最大限の努力をしたいと考える。
実名・匿名発表については、別に設けられている警察と新聞協会の協議の場に論議を委ねるべきである。犯罪被害者等基本計画からこの項を削除するよう重ねて求める。
以上