航空取材要領
1965(昭和40)年7月14日
第205回編集委員会
1985(昭和60)年1月10日
第424回編集委員会一部修正
1997(平成9)年3月13日
第557回編集委員会改定
日本新聞協会編集委員会が決めた「航空取材に関する方針」に基づき、報道の役割と責任を自覚しつつ、航空法の精神に従ってすべての取材・報道が安全かつ円滑に行われるよう、航空取材要領を定める。
- 取材および往復路の飛行に際しては、空中衝突事故を回避するため、見張り要員の搭乗を基本として見張りに万全を期すとともに、他機からの機体の視認性を高める措置を講じるよう努力する。
- 取材空域内においては、必ず航空機相互間通話用周波数(122.6メガヘルツ)を聴取するとともに、自機の位置及び行動等の情報を他機に提供する。
- 航空機の騒音によって取材対象の行事や作業ならびに一般の日常生活に支障を与えないよう、また地上の人または物件に危険を及ぼさないよう、必要な高度及び速度の維持に十分注意する。
- 同一対象を複数機で取材する場合、以下の原則に従って整然と飛行し、空中衝突の防止に万全を期す。
- 回転翼機は右旋回とする。
- 見張りに専従できる要員を乗務させる。
- 取材空域に進入するとき及び同空域から離脱するとき、また他機の後ろにつく場合や追い越し・経路変更などを行うときは、航空機相互間通話用周波数でその旨を通報する。
- 他機と一定の間隔を保つとともに、追い越しや経路変更などに際して、急激な操作を行わない。
- 空中に停止して特定の位置を独占したり、停止に近い速度で他機の取材を妨げたりするような行動をしない。
- <6>やむを得ずこれらの原則によらない場合及び速度の異なる航空機で取材する場合は、他機の経路・高度と交錯しないよう、取材群の一番外側を飛行する。また、これらの取材機にも取材の機会を与えるよう、各機は互譲の精神をもって行動する
- 飛行及びその安全に関して、搭乗者は機長の指示に従う。
- 予定される行事などで多数の航空機が集まることが予想される場合は、取材方法または飛行のルールなどについて、必要に応じ関係者間で事前協議を行う。
- 航空取材に関する問題については日本新聞協会に申し出があれば同協会編集委員会で審議する。
付記
航空取材要領について、その実効性を高め、理解を深めるためのガイドラインとして、以下の点に留意しつつ、広く報道航空関係者への周知徹底を図る。
見張りについて
- 見張り要員に対しては、パイロットの死角を補う方法など、効果的な見張りができるよう、研修・教育などに努める。
- 見張り要員は積極的に機長の補佐を行う。
- 搭乗者は取材現場の往復にも十分に注意を払う。
視認性を高める方策の具体例
- 着陸灯を飛行中可能な限り点灯し、昼間においても正面からの視認性向上に努める。
- 白色閃光灯(ストロボライト)を装着し、側方からの視認性を向上させる。
- 機体、ローターブレード上面に高視認性塗装を実施し、発見を容易にさせる。
航空機相互間通話用周波数の使用例
- 取材空域に入る前に「社名、機種、位置(方向)、高度、意図」を通報する。
(例)「○○新聞365、西2マイル、1500フィート、この高度で進入します」 - 空域内では、他機の死角に入って飛行し、かつ距離が近い場合は「相手社名、社名、機種、位置、意図」を通報する。対象機は応答する。
(例)「△△テレビさん、○○新聞365、現在左後方やや高め、これから左前方に行きます」
「△△テレビ了解」 - 空域から離脱する場合「社名、機種、離脱方向」を通報する。
(例)「○○新聞365、取材終了、東に1500フィートで離脱します」
- (注1)右記の例はいずれも、交信に際し定められた連絡設定を行うことを前提とする。
- (注2)いずれの場合も社名及び機種は識別しやすい表現を用いる。
管制機関等の積極利用
他機の状況および飛行に必要な情報を入手するため、管制機関等を有効に活用する。
騒音等への配慮
- 騒音への配慮と安全確保のため、最低安全高度等に留意しつつ、必要な高度・速度の維持に努める。
- 複数機で取材する場合の原則でいう空中停止またはそれに近い速度とは、おおむね30ノット以下を目安とする。
事前協議・地域間の連携等
- 自主取材・各社取材を原則とするが、飛行の安全確保と騒音防止等を考慮し、予定される行事等で多数の取材機の飛行が予想される場合は代表取材・共同取材等の方策を講じることもある。
- 本要領の実効性を高める上で地域間の情報交換や連携が重要であることを認識し、その具体化に努める。
- 本要領の趣旨について、運航担当者のみならず航空取材にかかわるすべての関係者に理解を得られるよう努める。