法廷内カメラ取材の標準的な運用基準
1991(平成3)年1月1日
1.法廷内カメラ取材の許可
法廷内カメラ取材は、裁判所又は裁判長が、事件の性質・内容、その他諸般の事情を考慮して、許可するものとする。
2.代表取材
撮影は、新聞・通信・放送各社間で話し合い、代表取材とする。
3.撮影機材
撮影機材は、1人で操作できる携帯用小型のスチールカメラ1台、予備用のスチールカメラ1台及びビデオカメラ1台とし、照明機材・録音機材・中継機材は使用しない。
4.撮影要員
- 入廷できる撮影要員は、スチールカメラにつき1人、ビデオカメラにつき1人とする。
- スチールカメラにつき1人、ビデオカメラにつき1人の撮影補助要員の入廷を認める。
5.撮影時期・時間
撮影は、裁判官の入廷開始時からとし、裁判官全員の着席後開廷宣告前の間の2分以内とする。
6.被告人の在廷
撮影は、刑事事件においては、被告人の在廷しない状態で行う。
7.撮影位置
撮影位置は、傍聴席後部の裁判長(裁判官)が指定する区域内とする。同区域内においては、撮影位置を移動することができる。
8.撮影対象
撮影対象は、入廷中の裁判官並びに裁判官席及び当事者席とし(傍聴席が付随的に入ることは可)、次に掲げる撮影は許されない。
- 特定の人物(裁判官を除く。)の拡張・拡大写真を撮影すること。
- 傍聴席にいる特定の者を個別的に撮影対象とすること。
- 当時者・傍聴人が宣伝的行為や法廷の秩序を乱す行為に出た場合、これを撮影対象とすること。
9.撮影中止
撮影要員は、裁判長(裁判官)又はその命を受けた裁判所職員の中止の指示があったときは、直ちに撮影を中止し、退廷しなければならない。
10.条件違反の取材が行われた場合の措置
取材条件又は裁判長(裁判官)の命じた事項に違反する取材が行われたときは、裁判長(裁判官)の権限に基づく処置、一定期間の取材停止その他必要な措置を執ることがある。
11.付記
法廷内カメラ取材の許否は、各裁判体の決定に係る事柄であり、法廷内カメラ取材(又はビデオカメラによる取材)を原則的に認めない裁判体、あるいはこの運用基準を制限的に運用する裁判体もあり得る。