低料第三種郵便料金の存続に関し要望の件
平成14年7月24日
総務大臣
片山 虎之助 殿
社団法人日本新聞協会
会長 渡辺 恒雄
今国会において、「郵政関連法案」が可決・成立し、来年4月以降、日本郵政公社が発足するとともに、郵便事業への民間参入が認められることとなりましたが、公社発足後も「低料第三種郵便料金」を、現行どおり存続するよう要望いたします。
第三種郵便制度そのものについては、公社発足後も存続が決まっておりますが、新聞各社が重大な関心を寄せている「低料第三種郵便料金」については、公社発足後、現在の条件、料金で存続するのか不明であります。
料金体系など具体的な内容については、公社設立委員会が検討し、総務大臣が承認することとされておりますが、昨年12月に公表された「郵政事業の公社化に関する研究会」中間報告では、「各郵便サービスについて従来以上にコストベースで料金を設定する必要が大きくなることにより、郵便事業内の内部相互補助によって提供されている政策的な料金減免(第三種、第四種郵便物等)を維持することが困難になることが見込まれる」など、低料第三種郵便料金の廃止の方向を示唆しております。しかし、このような施策は新聞文化の普及という観点から、到底認めることはできません。
国民が負担する日刊新聞の郵送料は、広く国民に多様な情報を提供することによって、健全な社会の発展に寄与するという公共的な使命から、明治22年以来、一貫して低廉な料金体系が適用されており、第三種郵便物の適用条件を「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、または議論することを目的とし、あまねく発売されるもの」(郵便法第23条)と定めているのも、こうした新聞の公共的、社会的役割の重要性を認識されたものであると理解しております。
新聞界は、新聞の社会的使命を遂行するためには、すべての読者に新聞を戸別配達することが理想と考えており、新聞各社は配達システムの整備に莫大な経費を投入するなど可能な限りの努力を続け、その結果として世界に類を見ない高度に発達した流通網を構築しております。しかしながら、なお山間部や離島など一部地域にあっては、戸別配達が不可能なところが残されているのが実情で、当協会加盟新聞社が発行する日刊新聞のうち、各地の販売店から低料第三種郵便料金で毎日郵送されているものは、約10万部前後に達するものと思われます。
社会・経済・政治など国民生活に欠くことのできない公共的情報を提供する新聞は、同一紙なら全国均一・低廉な定価で公平に提供されています。社会・公共財としての新聞にあっては、郵送料などやむを得ない理由によって読者が負担せざるを得ない諸経費についても可能な限り低廉で、かつ地域格差が生じない料金設定が望ましいことは言うまでもありません。伝えられるように、低料第三種郵便料金の廃止、あるいは値上げということになれば、現行の郵送読者は、過大な経費支出を強いられることになります。
「低料第三種郵便」の取り扱いに重大な関心をもつ新聞界としては、読者、消費者利益に鑑み、現行の制度、料金が維持されることを強く要望するものです。
以上