大学生座談会

就活をきっかけに新聞の公共的役割を学ぶ

大学生座談会

就活をきっかけに新聞の公共的役割を学ぶ

就職活動(就活)の際、新聞は情報収集や業界分析のツールとして活用されている。内定を得て就活を終えた学生、これから始める学生が、それぞれの視点で新聞の読み方、活用法を紹介するとともに、民主主義を支える情報源である新聞が担う公共的役割について考える。(2013年10月の新聞週間にあわせて実施)

〈参加者(敬称略)〉
五十幡裕介(いそはた・ゆうすけ)/慶応義塾大商学部4年
戸田雅子(とだ・まさこ)/法政大キャリアデザイン学部4年
牧野将之(まきの・まさゆき)/立教大社会学部4年
山口真理絵(やまぐち・まりえ)/横浜国立大教育人間科学部3年
鳥山忠志(とりやま・ただし)/日本新聞協会新聞調査研究部会幹事
小菅洋人(こすげ・ひろと)/日本新聞協会新聞調査研究部会副幹事

就活で新聞を活用

司会

本日は、大学での学びや就活などに新聞を活用する4人の学生の皆さんと、日本新聞協会新聞調査研究部会委員のお二人に、新聞の公共性と役割、そして身近な活用法に至るまで、さまざまなテーマで話し合っていただきます。まず学生の皆さんに、日ごろの新聞との関わり方を紹介していただきたいと思います。

五十嵐

私はスポーツが好きなこともあり、自宅では、スポーツ面を中心に新聞に目を通していました。就活を本格的に始めた3年生の夏ごろからは、2紙を併読するようになりました。就活期間中は毎日持ち歩いて読んでいたため、新聞はとても身近な存在です。

戸田

高校生の時、課題で新聞記事をスクラップする経験をしました。自分でスクラップした記事に感想を添えたり、絵を描いたりする中で、初めて新聞を読む楽しさを知りました。それからは新聞を読む習慣が身に付きました。

牧野

私は全国紙で学生記者をさせていただいています。学生とはいえ、実際に宅配される新聞の記事を担当するわけですから、テーマについて議論を重ねた上で取材を行い、校閲の方とのやりとりを通して正確性を極めた記事を書くという過程を経験しています。紙面をつくる際、どれだけの苦労があり、どれだけの思いで記者の方が記事を書いているか身をもって知ることができました。それからは新聞をじっくり読むようになりましたね。私も就活では新聞を活用しました。将来自分が働きたいと思う会社が、社会の中でどのようなポジションにあるのか知った上でエントリーしたいと考えたからです。そのため2紙を購読し、業界研究に役立てました。

山口

私はいま3年生で、就活はこれからなのですが、大学での寮生活なので大学の図書館で複数の新聞をまとめ読みしています。高校の時、文章を書くのが苦手だったため、新聞のコラムを書き写していたことから、今でも興味のあるコラムは書き写しています。

司会

就活が新聞購読のきっかけになっているようですね。具体的にはどのように活用したのですか。

戸田

紙の新聞とあわせスマートフォンでも新聞を読んでいました。気になる記事をスクラップしたりスクリーンショットを取って保存したりすることを続けるうちに、特定のテーマを集めていることに気づきました。そうした記事の傾向から、自分の興味の対象が分かり、就活で志望業界を見定める際にとても役立ちました。また、エントリーシートの自由記述欄に自分自身を表現する際も、デザインや構成を考える上で、新聞広告のデザインを参考にするなど、新聞を隅から隅まで活用していました。

五十嵐

私はマスコミ志望だったため、筆記試験で必ず出題される「時事問題対策」として、新聞を大いに活用しました。具体的には、手帳に毎日、主要記事の見出しを書き写していました。実際に書くこと、そしてそれを見ることで、その記事が印象として残るのです。また、コラムや社説、人にフォーカスした記事をスクラップしていました。将来自分が働いている姿を想像し、自分が取材するならどういった聞き方をすればいいのかということを意識しながら読みました。そうすることで自分なりの視点を身に付けることができ、とても勉強になりました。毎日5分、10分の積み重ねですが、手元で1年間のニュースの総ざらいができるため、これから就活をする方にもぜひ実践してほしいと思います。

山口

私もマスコミを目指したいので、ぜひ見出しの書き写しやスクラップを実践してみたいと思います。

牧野

私は大学での学びを通し、環境問題に関心を持つようになりました。新聞に加え、大学の図書館にある新聞社の記事データベースを活用しています。テーマに沿った記事を検索し、印刷してスクラップするなど、いつでもその記事を見られるよう工夫しました。情報を得るだけならインターネットで調べればいいと思いますが、新聞では、例えばある会社が新規に事業を行った際など、社会にどういう影響を与えるかといったことまでが深く掘り下げられており、客観性や信頼性もあるため、とても参考になります。