IPI、欧州4か国の報道の自由巡り報告書
国際新聞編集者協会(IPI)は東・南欧のハンガリー、チェコ、ブルガリア、ギリシャの報道の自由に関する報告書を相次いで発表している。IPIは東欧各国に、既得権ビジネスと政治的利権による「メディア支配・統制」(media capture)の特徴があると捉え、その実態を分析している。特に、ハンガリーの古典的なメディア支配・統制との対比でチェコ、ブルガリアの状況が描かれている。
【ハンガリー】4月3日に総選挙を控えた同国の言論状況への懸念から2月にブダペストで現地調査を実施、3月21日に報告書を発表した。オルバン首相が率いる右派与党によるメディアの多様性の組織的な毀損、独立した報道機関の抑圧、政府寄りの報道をさらに支配的にする市場操作を指摘している。
https://ipi.media/mission-report-media-freedom-in-hungary-ahead-of-2022-election/
【チェコ】3月22日発表。ハンガリーの国家主導のメディア支配と異なり、多くの民間メディアが一握りのオリガルヒ(富豪層)の手中に落ち、ビジネス上の利益促進のために利用されているとする。
https://ipi.media/ipi-publishes-report-on-media-capture-in-the-czech-republic/
【ブルガリア】3月25日発表。政治家、オリガルヒ、メディア界の重鎮、犯罪組織が司法、検察、メディア規制機関などを支配しようと権力闘争を繰り広げ、メディアは権力闘争の道具として利用されていると指摘する。
https://ipi.media/ipi-report-shines-light-on-hidden-alliances-and-vested-interests-behind-media-capture-in-bulgaria/
【ギリシャ】3月28日発表。報道の独立と記者の安全確保を巡る構造的な問題はギリシャ特有のものではないが、他の欧州連合(EU)加盟国より深刻だと強調している。
https://ipi.media/greece-mfrr-report-finds-systemic-challenges-to-press-freedom/
(2022年5月10日修正)
(2022年4月1日)