米NMA、生成AIの取り扱い原則公表
米ニュース/メディア連合(NMA)は4月20日、生成AI(人工知能)の取り扱い原則を発表した。記事などのコンテンツ利用に関する包括的な指針となる原則で、生成AIの開発者が加盟報道機関のコンテンツ(テキスト、画像、音声など)を使う際の知的財産、透明性、説明責任、公正さ、安全性、システム設計の問題を取り上げている。発行者(パブリッシャー)の知的財産を利用する際、AI開発者が明確な許諾を得る必要があり、発行者は公正な補償を求めて交渉する権利を持つべきだとした。
NMAのダニエル・コフィー事務局次長はAIのような新興技術は質の高いコンテンツを作成する発行者の知的財産、ブランド、読者との関係、投資を尊重しなければならないと指摘。そのうえで「生成AI技術開発にコンテンツが寄与する莫大な価値に対し発行者は公平な補償を受けなければならない。単純な価値の交換だ」と述べた。
原則によると、生成AI開発者と導入事業者は以下の場合、コンテンツ使用権について発行者と交渉しなければならない。
1)システムの学習とテストのために発行者のコンテンツをデータセットに含めること
2)利用者の入力に対するAIの回答に発行者のコンテンツを使うこと
3)問い合わせに対する回答の元となるコンテンツをAIが要約、解説、分析すること
なお、この原則は技術の進展に応じて改められる可能性があるという。
原則の柱は以下の通り。
〇知的財産権
・生成AIの開発者と導入事業者はコンテンツの作り手の権利を尊重しなければならない。発行者の知的財産を許可なく使用すべきではない。発行者は開発者による知的財産利用に対し公正な補償を求めて交渉する権利を持つべきだ。
・発行者による知的財産の利用には明確な許諾を要する。書面による正式な契約について交渉することが必要だ。
・補償契約はAIシステムが発行者と市民にもたらす弊害についても説明しなければならない
・著作権法はコンテンツ制作者を害するのではなく保護しなければならない
・発行者のニュースコンテンツ利用を許諾する市場は現在もある
〇透明性
・生成AIシステムは発行者に対し透明性を確保すべきだ
・生成AIシステムは利用者に対し透明性を確保すべきだ
〇説明責任
・生成AIシステム導入事業者はシステムが生み出すものに責任を持つべきだ
〇公正性
・生成AIシステムは不公正な市場や競争を生み出したり、そのリスクを冒したりすべきではない
〇安全性
・生成AIシステムは安全であるべきで、プライバシー侵害のリスクを避けるべきだ
〇システム設計
・上記の原則は生成AIシステムの設計に重要な要素として組み込まれるべきだ。後知恵や都合のいい時、第三者の申し立てを受けて対応するような小さな問題と考えるべきではない
報道発表
https://www.newsmediaalliance.org/release-news-media-alliance-releases-new-generative-artificial-intelligence-ai-principles/
生成AI原則
https://www.newsmediaalliance.org/ai-principles/
(2023年5月24日)