2013年 2月19日
苦しむ人の心の叫び伝える

愛媛「生きづらくないですか?」

 世間でそれほど認知されていない病気は、現代社会の「生きづらさ」を映す鏡かもしれない。昨年8月16日から木曜の生活面で、摂食障害やギャンブル依存症に苦しむ人の心の叫びを伝える連載が始まった。

 第1部では摂食障害をテーマに、障害と向き合う当事者、家族、病院、自助グループの活動などを紹介した。摂食障害は、拒食の果てに痩せ細るイメージが強い。しかし、実際は過食、嘔吐(おうと)、絶食の繰り返しで、外見では分からない普通の体形の人が多い。障害へ進むきっかけは多くがダイエット。背景にある「生きづらさ」の正体は、人間関係の難しさ、将来への不安などだ。痩せた体形を重視する社会の風潮が作り出している側面もあるという。明確な処方箋はないが、まずは孤立しない、させないことが大切だと指摘する。

 「誰も最初から依存症、多重債務になろうと思ってパチンコを始めたわけじゃない」。話を聞くたび、この思いを強くしているという生活文化部の安藤勤副部長。危険性を知らないまま、気軽にギャンブルができる環境に疑問を感じる。第2部ではギャンブル依存症をテーマに、パチンコのために会社の金に手を付けた男性など、依存症と向き合う人を追った。連載の反響は、ほとんどが当事者家族からだった。「借金は返したらいけないと分かっていても、結局返してしまう」。正しい対応方法を知らず、何度も借金の尻拭いをし、苦しむ家族の多さに驚かされた。

 摂食障害やギャンブル依存症は、結果的に社会における弱い立場の人に起きている。安藤副部長は、「正しい知識があれば、早い段階で回復の道を選べたケースは山ほどある。苦しんでいるのは、自分だけではないと知ってほしい」と話す。第1部は香川華代記者、第2部は安藤副部長と多和史人記者が担当した。(福)

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