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2013年 3月19日
孤立死の実態探り起こす
苫小牧「ドアの向こうで」
北海道苫小牧市大成町の高層市営住宅で今年1月、母(79)と娘(45)が亡くなっているのが見つかった。高齢化が進み、孤立死発生のリスクは年々高まる。母娘の事例を踏まえ、問題が顕在化してきた地域社会の課題と対策を探った。1月29日付から計4回掲載した。
初回は、母娘の置かれていた状況を伝えた。一家は父と母、娘の3人で市営住宅で暮らしていたが、数年前に父が他界。体が不自由な母親の食事や身の回りの世話を娘1人で担っていた。福祉サービスを利用せず、近所付き合いもなく、同棟で暮らす140世帯の住民の誰もが、母娘の死に気付かなかった。
第2回は市営住宅の管理体制の問題を指摘した。民間の賃貸住宅と異なり、各室の鍵は入居者が全て所有し、管理人は合鍵を持っていない。このため、自治会や管理人が住民の異常を察知しても、ドアの鍵を開けて部屋に入ることができない。自治会は各階ごとに住民による「見守り隊」を編成し、近所付き合いの少ない独居高齢者などを重点的に見回る活動を4月からスタートさせる
北九州市、埼玉県行田市など、見守り活動に力を入れ、成果を挙げている自治体の取り組みを第3回で紹介。最終回は、孤立死対策で先進的な取り組みを進める「さっぽろ孤立死ゼロ推進センター」(札幌市)の杉谷憲昭事務局長にインタビューをした。
社会部記者6人で構成する孤立死問題取材班が担当。昨年11月末に「超高齢化社会の実相」と題した企画で問題の背景を探った矢先の今回の事件。「孤立死の実態は行政も発表しておらず、地域に埋もれている状況だ」(下川原毅社会部長)。それを掘り起こし、地域全体で考えていきたいと願う。今月下旬には、孤立死に関連して認知症の問題を探る企画を展開する。(菅)