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2013年 9月3日
町工場の新たな芽吹き
中国「ものづくりの現場から」
半導体や電機などの分野で、大手メーカーの中国地方の工場が相次いで閉鎖している。しかし、海外との競争、円高など逆風にさらされながらも、町工場には新たな芽吹きがある。待望の新人の入社、初めての海外展開、会社の枠を超えた連携―。中国の経済部が、地域のものづくりの現場を追う連載を元日からスタートさせた。
工場の集約や海外移転が進み、広島県内の製造業の事業所数は、中小を中心に20年で4割減った。第1部は「連携」をテーマに、共同受注や急ぎの仕事を社の垣根を超えてグループで協力することで、成果を挙げている中小メーカーの事例などを紹介している。
企業の海外進出の波は、町工場にも広がっている。第5部では、世界有数の自動車生産地タイや、低コストで注目されるベトナムを訪ねた。自動車用ナットを造る中国精螺(東広島市)タイ工場のナット生産量は、本社工場の約3倍に上る。規模で逆転された本社工場は航空機部品などを扱い、複雑な製品への対応ではタイより優位に立つ。同社は海外の工場という意識を取り払い、国内工場と同様に位置付けた。この姿勢が今後、中小メーカーの普通の姿になると記事は分析する。
このほか、国内需要の低迷に直面する伝統産業が、海外展開や技術の転用など、培った技を生かし新境地を開拓する動きを追った。また、経営者や職人の高齢化が進む中、事業や人、技術を次代にどうつなげていくかを探った。
「中小だから無理だと諦めず、県外や海外の進出をはじめ、決断を早くできるかどうかだ」と経営者の多くは語るという。連載を主に担当した新山創記者は、「生き残っている会社には高い技術力と競争力がある。経営者のチャレンジ精神こそが、これからの鍵だ」と話す。今後は連載を踏まえ、有識者へのインタビューなどを掲載していく。(福)