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2013年 10月29日
先行開業地の成功例を学ぶ
北日本「とやま発未来行 北陸新幹線2015開業」
北陸新幹線の長野―金沢間が2015年春、開業する。富山駅のほか、新設される黒部宇奈月温泉、新高岡の両駅が、富山県内の停車駅だ。新幹線のもたらす効果と副作用を見極め、県の未来をどう描くか。県民と共に地域の将来を考える連載が1日から始まった。
プロローグでは、成功したとされる先行開業地を記者が訪れ、町の様子をルポし、市長らにインタビューした。「ルポとインタビューを併せて読むことで、その地域の全体像が分かるようにする」(西嶋伸一社会部部長デスク)ことが狙いだ。
最初に訪れたのは富山と同じく途中駅となる熊本。通過対策の鍵は、熊本県民すら驚くような地域の魅力を再発見し、訪れる人に伝える県の「くまもとサプライズ」運動だった。〝ゆるキャラ〝として屈指の知名度を誇るくまモンが、県内外で運動の先頭に立った。PR活動で県の魅力を訴え、人を呼び込む戦略が見事に当たった。
対策が功を奏したとはいえ、11年度の熊本駅の乗降客数は1日平均約1万3千人で、九州新幹線のターミナル駅・鹿児島中央を千人ほど下回った。富山も対策を打たないと、金沢と大きな差がつく可能性がある。
東京へのアクセスのよさを生かし、企業誘致で成功した東北新幹線の八戸、周辺の区画整理で駅前に幹線道路を引き込み、大型ショッピングモールの誘致などで成功した長野新幹線の佐久平も取材した。
他県の成功例を踏まえ、今後は県内で取り組むべき課題を取り上げる。新幹線の影響で航空便や特急列車の減便・廃止が検討されている実情もある。政治部の川渕恭司記者は、「マイナスをプラスに変えるのは、やはり人だ。地域の魅力を生かす熱意や、もてなしの雰囲気作りなどを提言していきたい」と話している。(さ)