2013年 11月26日
生活実態に正面から迫る

南日本「かごしま 子どもの居場所」

 鹿児島県内の児童・生徒のうち携帯電話を所持しているのは、小学生で17%、中学生で23%。これが高校生になると、ほぼ100%に跳ね上がる。ケータイは彼らの日常に浸透し、欠かせないコミュニケーションツールとなったが、時に深刻な問題を引き起こす。長期連載の第1部「つながりたい~ネット世代のリアル」は、片時もインターネットから離れられない県内高校生の実態に迫った。

 「話してみると意外に素直だったが、実名では本音で話してくれない。それほど子供たちは周囲の目を気にしている」と、取材に当たった上仮屋美佳記者。取り上げた高校生は全員を仮名にした。

 自分の投稿に付けられるコメント数が人気のバロメーターだと考える高2のケンは、コメント数が少なければ落ち込む。高2のユリは、目が覚めた瞬間から寝る前まで友人とたわいない会話を楽しむ。高3のサヤにとって、ネットは気兼ねせず本音を出せる場だ。匿名でつぶやいた悩みに大人からアドバイスが届くとき、多くの人に見守られていると感じる。

 想像もつかない使い方を生み出す子供に大人が追いつかない、と情報モラルを指導する教師らは漏らす。一方、批判的な大人の物言いに、使い方の問題なのにネット自体を悪く言うのはおかしいと、高校生は反発する。取材で見えてきたものは、友人と常につながり、面識のない人とも臆することなくコミュニケーションを築く子供たちの「危ういがたくましい使い方」(上仮屋記者)だった。

 社会は変化し、子供の居場所は多様化した。今後は学習塾通いや学童保育、不登校問題、地域ぐるみの子育てなどを取り上げる。田中優子報道部副部長は「子供たちがどんな生活を送っているか正面から取り上げる連載にしたい」と話している。(夏)

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