2013年 12月10日
高校生の読書の今

桐生タイ「本の森で会おう―当世図書室事情」

 若者の読書離れが言われて久しい中、子供たちはどのように本と付き合っているのか―横倉憲記者が群馬県の桐生、みどり両市内の高校全9校の図書室を巡って教員や司書、生徒らに取材し、高校生の読書の今と図書室の役割を探る。11月13日から毎週水曜に連載中だ。

 最初に取り上げた桐生市立商業高校の図書室は蔵書約1万7500冊で、保護者が利用することもある。2012年度の貸し出し冊数は2247冊に上るが、少数のヘビーユーザーが支えているのが現状だという。

 一人でも多くの生徒に図書室を利用してもらうため、司書たちは知恵を絞っている。高校生の好みに合わせ、ライトノベルや漫画本を配架している学校もある。アパレル関係へ就職する生徒が多い学校では、ファッション誌を置いていた。限られた予算の中、図鑑や事典、写真集、科学書もそろえ、蔵書全体のバランスをとることにも腐心している。

 取材を重ねる中で、図書室の意外な役割も見えてきた。先生に話せないことも、司書には相談できるという生徒がいる。また、保健室とは違って一人でいることが許される図書室は、癒やしの空間になっている。知識を得るという面だけでなく、人間関係の上でも重要な役目を果たしていることも浮かび上がってきた。

 「当初考えていたよりも、高校生は本を読んでいた」と横倉記者は話す。紙媒体の存在価値を再認識したという。図書室での新聞配置についても、「教師が記事を話題にするなど、生徒と新聞を結ぶ導線を引けば、生徒は読むようになる」と話す。

 男女の読書傾向の差、教員と本との付き合い方など、気付いた問題は多い。「図書室」を中心に、今後さらに掘り下げていく考えだ。(三)

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