2014年 4月8日
教訓生かされたと実感

長野日報「諏訪地方 検証 2月豪雪 

 2月14、15日の記録的な豪雪で、長野県の諏訪地方は甚大な被害を受けた。長野日報は豪雪から約2週間が過ぎた3月2日から、全3回の検証記事を掲載。被害の実態をあらためて調査し、住民の安否確認や行政の情報発信、農業被害などの課題を洗い出した。

 取材・執筆に当たったのは小幡義明報道部デスク以下、鮎沢健吾、牛山義章、唐沢宏、保延悟、日比野真由美の5記者で構成する大雪取材班。豪雪となった日は取材のための移動も困難だったという。小幡氏は「住民生活への影響と復旧を細やかに報じたが、被害の実態を伝えるだけで精一杯だった」と振り返る。

 被害にうまく対応できた自治体ばかりではなかった。富士見町では積雪量が1メートルを超え全域の交通が遮断されたため、除雪と帰宅困難者への対応に追われ住民の安否確認まで手が回らなかった。避難場所に集まった状態での安否確認しか想定しておらず、自宅に閉じ込められた状態での確認方法をそもそも考えていなかった地区もあった。

 課題を検証する中で、対応できなかった自治体を責め立てるような表現にならないよう配慮したという。小幡氏は「被災したのは行政の職員も同じ。結果論として手抜かりを指摘することはできるが、置かれた状況でそれぞれが一生懸命対応したことを忘れてはいけない」と話す。こうした連載は否定的な要素が多くなりがちだが、ビニールハウスが全壊しながらも前を向いて復旧に取り組む農家など、明るい話題を盛り込むことにも気を遣った。

 連載が終わった翌日の3月5日には再び大雪に見舞われた。しかしこの時は、2月にうまく機能しなかった防災行政無線や緊急速報メールで盛んに情報発信する役場が出てきた。連載したおかげかは定かではないが、教訓が生かされているという実感があったという。(さ)

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