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2014年 5月13日
追い詰められる当事者たち
下野「希望って何ですか 貧困の中の子ども」
日本は国内総生産世界第3位の経済大国のはずだ。ところが、昨年末に国連児童基金(ユニセフ)などが公表したデータによると、標準的な所得の半分に満たない額で暮らす18歳未満の子供が、14.9%もいるという。彼らは貧困ゆえに、得られるはずの人とのつながりや成長の機会、進学、就職の選択が損なわれている。「子どもの貧困対策推進法」が施行された今年、子供が希望を持って自らの未来を選べる社会の在り方を探る。
1月から始まった第1章では、宇都宮市内の児童養護施設で育った女性(32)の人生をたどった。社会部「子どもの希望」取材班の山崎一洋デスクは、「貧困の中で子供がどう育ち、何を考えていたのか、大人になってどうしているのか。それを知ってもらうことで、まず全体像を把握してもらおうと考えた」と話す。
続く2章では、貧困状態にある子供たちが直面する生活の苦難や教育機会の喪失、自立を阻む壁に迫った。当事者の匿名性を担保しつつ、リアリティーを求めていくことには葛藤があった。また、あまり悲惨な事例だと現実感がなく、読者が共感できなくなる恐れもあり、加減が難しかったという。
3章は支援を受けた当事者の変化を追った。今月4日から始まった4章では、どうすれば貧困を見つけて支援につなげることができるのかを考える。
貧困の度合いが強ければ強いほど、世の中から阻害されている感覚は強く、心身共に追い詰められている場合が多い。本人の中の事実が客観的な事実と重ならないことや、支援者の証言と異なる場合もあり、事実確認に非常に手間と時間がかかる。山崎デスクは「取材相手との関係作りも含め、現場の記者は非常に苦労している。一朝一夕に解決できる問題ではないが、考える糸口を示したい」と話している。(さ)