2014年 6月10日
権利から存在意義を考える

苫小牧「憲法と私たち」 

 憲法は空気のような存在だ。普段の生活では意識しないが、さまざまな権利が憲法で保障されている。連載は5月3日の憲法記念日から5日連続で1面展開し、諸権利を切り口に憲法の存在意義を訴えた。下川原毅政治経済部長は「憲法9条の解釈変更、さらには改憲の動きがある中、今あらためて憲法を見つめ直す必要があると考えた」と話している。

 国民の「知る権利」は、21条の「表現の自由」が根拠とされる。初回は苫小牧市の情報公開をめぐる課題から、知る権利について考えた。苫小牧市は2009年に市民参加条例を施行し、重要政策決定時はパブリックコメントを実施するという市民参加の枠組みを整えた。しかし、パブコメ実施は、施策を担当する部局の裁量に委ねられるケースが少なくない。市長の付属機関であり市民や有識者で構成する市民自治推進会議で、委員が「市のアリバイづくりに利用されていないか」と指摘している実態を伝えた。

 25条が規定する生存権。1項には、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利とあるが、ワーキングプア(低賃金労働者)といった生活保護受給費より低い収入での生活を余儀なくされる人も多い。月2万6千円の国民年金だけでは生活できず、知人のアドバイスで、不足分の一部を生活保護費で賄えるようになった女性の苦しい生活を紹介し、生存権の在り方を問い直した。

 連載ではこのほか、反戦の詩を書き続ける市内在住の山川美明さん(82)らに、9条への思いを聞いた。

 山田香織、完戸雅美、村上辰徳の3記者が取材に当たった。「何万人もの犠牲があって、平和憲法ができた。その犠牲を忘れてしまうのか」。山田記者は、取材した女性の言葉が今も心に残っていると話す。関心を持ち続けることが何よりも大切だと、今後も伝えていきたいという。(福)

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