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2014年 7月1日
生態系守る大切さ訴える
千葉「忍び寄る脅威 房総の特定外来生物」
ペットや観賞用植物が野生化した「特定外来生物」が、自然豊かな房総半島に生息する貴重な動植物の脅威となっている。千葉県生物多様性センターや市民が対策を講じている6種類の特定外来生物に焦点を当て、被害の実情や生態系を守ろうとする人々の取り組みを、4月29日から6回の連載で伝えた。
昨年5月の連載企画「房総の『たからもの』希少動植物種の今」で、絶滅の危機にあるシャープゲンゴロウモドキなど貴重な動植物と、保存活動に携わる人々を紹介した。かつて関東地方に広く分布した国の天然記念物ミヤコタナゴは、都市化の進行で激減。今も千葉県では自然に繁殖するが、河川の改修などで絶滅へのカウントダウンが始まっている状態だ。これに拍車を掛けたのが、外来種の流入だった。
希少動植物と裏表の関係にある外来生物の連載企画を立てた吉田哲記者は、「生態系を守るには一般の人々に外来生物への関心を持ってもらい、協力してもらうことが欠かせない」と話す。取材は吉田記者を含む社会部の4人で進めた。
捨てられたペットが野生化していったカミツキガメやアライグマ、驚異的な繁殖力で急増するナガエツルノゲイトウやオオキンケイギク―特定外来生物が破壊するのは、地域の生態系だけではない。農作物被害など、人々の生活を直接脅かしている。
連載の最終回は、市民ボランティアも加わった人海戦術でナルトサワギクの完全排除目前にこぎ着けた例を取り上げた。ただ、こうした成功事例は例外的で、対策を講じようにも人手が足りないというのが現状だ。
デスク役を務めた藤田泰彰社会部キャップは、「外来生物駆除の必要性は高い。報道を続けることで、それを行政や警察に対し訴えていきたい」と話している。(新)