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2014年 8月12日
作品の思い通し人間つづる
秋田魁「個性の花開く 表現する障害者たち」
障害のある人たちが生み出す美術作品は「アール・ブリュット」(生のままの芸術)と呼ばれ、近年注目を集めている。連載は7月9日から5回にわたり、秋田県内で創作に取り組む5人を作品や支援者の思いを通して紹介した。
昨年、秋田市の市民団体が障害者の芸術活動を紹介する冊子を発行した。連載を担当した土田絵美子文化部記者は、冊子の紹介記事を書いたことがきっかけでアール・ブリュットに関心を持った。言葉で伝えられない思いを、キャンバスで自由に表現している作品に心を打たれた。
76歳の女性は脳性まひの後遺症で脳や手足に障害があり、どうして、どうやって、という質問にはうまく答えられない。「これは○○ですか」などの単純な質問を積み重ね、作品に込められた思いや女性の人間性を記事で伝えた。自閉症傾向の知的障害がある24歳の男性は、ほとんど話さない。両親の話を中心に、絵を描くことで行動が落ち着いていった経緯をたどった。
これまで作品を発表する機会が少なかったこともあり、家族や支援者からは取材を歓迎されることが多かったという。しかし、取材を受けた後、創作活動をやめてしまう人もいる。何がどう影響するか分からないので、親や施設関係者から許可を得ていても細心の注意が必要だった。
写真を撮る時、初対面で笑顔を見せてくれる人がいれば、5回会って初めてカメラを向けることを許してくれる人もいた。いつ話しかけてよいのか分からず、タイミングを考えすぎて周囲から「どんどん話しかけて」と声を掛けられたこともある。土田記者は「健常者の取材以上に、私見や質問の内容を相手から常に試されている感覚があった。取材相手との距離の取り方の難しさをあらためて実感した」と話した。(さ)