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2014年 12月16日
暮らしぶり伝え理解深める
八重山毎日「八重山のフィリピン人」
石垣島に暮らす外国人は約300人、このうち最も多いのがフィリピン人だ。50人近くが暮らしている。10月から全30回の連載で、彼らの暮らしや日本人住民との交流を丁寧に追いかけ、知っているようで知らない隣人の姿を紹介した。
編集局編集センター整理部の松田良孝記者は「島内でフィリピン人の交流拠点になっているカトリック教会のイベントに何度も顔を出し、その場の空気をきちんと理解して書きたかった」ため、取材に1年半かけたという。取材を進めていた2013年11月、大型の台風30号がフィリピンを襲った際には島も避難民を受け入れた。連載は、台風から1年がたち島から本国に戻った人が現在どのように暮らしているのか、フィリピンを訪ねるところから始まる。
続いて、カトリック教会の活動や、日本人男性と結婚したフィリピン人女性の暮らし、日本人とフィリピン人の間に生まれた子供たちの思いを、主に人物紹介の形式で描いている。介護や農業など幅広い業種で、日本人と同じように活躍する姿も紹介した。
読者に、共に地域で暮らす隣人への理解を深めてほしいという思いがあった。息子が少年野球チームで活躍する女性を紹介した際には、「あの子のお母さん」ということを前面に出した。そうすることで、より読者に親近感を持ってもらえると考えたからだ。
日常生活には困らないが、日本語での繊細な感情表現は難しいという人も多い。なるべく正確な表現にたどり着くよう、拙い英語と日本語でやりとりを重ねたという。フィリピンの文化を紹介する一方、フィリピン人のイメージを決め付けないように心掛けた。松田氏は「やはり偏見もある。こちらが意図しない形で助長する結果にならないよう、気を配った」と話している。(さ)