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2015年 1月13日
新聞が持つ取材力アピール
サンスポ「そこが知りたい 出勤!特命記者」
ネットの速報力を前に、新聞は本来の力を生かし、培った取材力と人脈を紙面に表現できているか―連載企画が生まれたのは、その問いからだった。
昨年11月25日付から毎週火~金曜日の最終面で、編集局全体で取り組む大型連載として展開。スポーツ、芸能など幅広いジャンルで読者の疑問や関心事を深く掘り下げている。
第1回は、ヤンキースと桁外れの超大型契約を結んでいる田中将大投手の報酬の支払われ方を取り上げた「大リーガーの給与事情」。第2回に登場したのはプロゴルファーの松山英樹選手。米ツアー転戦中も欠かさず持ち歩く、故郷・松山のしょうゆがパワーの源だ。徹底して現場取材を重ねて取材対象のディテールに迫る。
樋山純編集局総務は、選手の成績などの裏にある、ネットで検索しても出合えない情報を示すことが企画の狙いと語る。「読者から『新聞の必要性を示してみろ』と言われたとき答えになる紙面にしよう、スポーツ紙の力を評価してもらおう、と考えた」。
記者が日頃からどれだけ情報を蓄積し、魅力ある読み物に仕立てるかが勝負どころだ。12月23日付ではソチ五輪フィギュアスケート金メダリスト・羽生結弦選手の魅力に迫った。運動部の角かずみ記者は、実力、ルックス、振る舞いだけでなく、ファンレターに直筆で返事を書く筆まめぶりと律儀さに着目。手紙の実物とともに紹介した。「もともと競技会場でファンの声を取材することが多く、手紙をもらったという話も聞いていた。原稿にならない取材は数多いが、その積み重ねを企画に役立てることができた」と話す。
1月までのオフシーズンの連載だが、その後も同種の企画を展開していく。樋山氏は「日常的に掘り下げた取材をしていないと書けない企画だ。記者育成にもつながる」と語る。(洋)