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2015年 1月27日
生産現場への理解を
宮崎日日「食揺らぐ」
宮崎牛や促成栽培の野菜に代表されるように、食料基地・宮崎県は日本の食卓を支える。その生産現場で根幹が揺らいでいる。元日付から始まった第1部「つながる世界」は、国境を越える家畜感染症のリスクや農業資材の海外依存といった現状を描き、食の現場の今を探る。
「一般の人は生産現場を知らない。連載でその姿を伝え、生産者と消費者の相互理解を進めたい」と諌山尚人報道部次長は話す。課題を紹介し、解決のための地道な取り組みを伝えるのが狙いだ。
県は観光誘客や農産物の輸出先としてアジアを重視し、人の往来と物流も加速している。過去の口蹄(こうてい)疫と鳥インフルエンザの発生は海外での流行期と重なっており、国境を越えた防疫対策が急務だ。連載初回は昨年12月の鳥インフルエンザ発生を受け、急きょ差し替えた。
農業資材の海外依存の一例が、リン鉱石だ。作物の育成に欠かせない栄養素リンの供給元だが、国際的な需要増や円安を背景に価格が上昇している。こうした状況を受け、鳥ふんの焼却灰から得られるリンを新たな資源とした化学肥料の開発が始まっている。廃棄されたインスタント麺やパンは、乾燥・粉砕して「エコフィード(食品残さ飼料)」に再生され、高騰する輸入飼料の代わりとして期待される。
報道部農政担当の小谷実、海老原斉両記者が取材に当たる。取材では徹底した防疫対策が欠かせない。養鶏場には立ち入らない、畜牛・養豚場には必要以上に入らない、もし立ち入る時は長靴を履き消毒を徹底する―。諌山氏は「こうした取材姿勢が本紙への信頼にもつながる」と話す。
今後、消費者の動向やライフスタイルの変化、気候変動による作物の育成不良などを取り上げる。(夏)