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2015年 3月3日
心肺停止、迅速対応の道は
デーリー東北「命つなぐ 市民AED」
一般市民が自動体外式除細動器(AED)を使えるようになって10年。AEDはどれぐらい普及したのか、台数は足りているのか―。八戸市民病院の医師の問い掛けを契機に、昨年11月からキャンペーン報道を始めた。
一昨年、心肺停止状態で救急搬送されたのは八戸消防本部管内で460件。このうちAEDを使用し社会復帰につながったのは6人で、全国でもトップクラスだという。木村和彦報道部長は「10年を機に、どうすれば心肺停止の状態から一命を取りとめ、社会復帰できる確率を高められるかを探りたいと考えた」と話す。市民病院救命救急センターの協力を得て、調査や取材を開始。記事をまとめた特設サイトも開設した。
市内のAED配置マップを完成させる▽公費負担の在り方を考える▽効果的な設置、周知方法を探る―の3点を、キャンペーンに当たり目標に据えた。2月24、25日付紙面で、一つ目の目標である八戸市内のAED設置場所を地図にまとめた。市民が使用できるAEDを設置していたのは460施設。昨年9月に市内の企業に配置の有無を問うアンケートを実施し、記者2人で取材を重ねた。AEDを使える時間なども紹介した。
岩舘貴俊記者は「いざという時に使えるか不安だとの声も多い。取材では、使い方や設置場所が周知されていないという課題が見えてきた」という。今後の記事で課題を取り上げていくほか、4月には本社で市民向けに使い方の講習会も開く。
AEDを使い社会復帰を果たしている人もいれば、後遺症が残る人もいる。岩舘記者は、使用状況や市民の声を丹念に取材し、「どう使えば命をつなぎ、社会復帰につなげられるか伝えたい」と強調する。読者からは「夜間にAEDを使える場所が少ないと分かった。うちの店で設置を検討したい」などの反響が相次いでいる。(愛)