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2015年 11月24日
玉石混交の情報の見極めは
南日本「ネットと新聞―取材現場から」
読者に正確な情報を届けるために、記者はインターネットの玉石混交の情報をどう取材しているのか―。記者が試行錯誤しながらネットと向き合う様子を取材現場から報告した。その上で速報性などネットの特性をどう取り込むべきかを探った。
報道部の中咲貴稔記者は「新聞の守るべきところと変えるべきところを見つめ直したいと思った」という。新聞週間に合わせ10月15日から計5回連載。20、30代の記者3人で取材した。番外編で新聞大会に合わせて新聞協会が主催したハッカソン「NEWS Hack」も取り上げた。
南日本は4月に鹿児島県鹿屋市で起きた殺人事件で初めて、被害者の顔写真をフェイスブックから入手した。しかし、身近な人から直接写真を提供してもらう時以上に、被害者本人かどうかの確認に慎重さが求められた。本人だと裏を取るために2日かかったという。
8月には「鹿児島市に殺人ピエロが現れる」とのデマがネット上で過熱し、市民を不安に陥れた。「デマだと報道して市民の不安を払拭すべきだ」とする意見の一方、犯人を助長するなどの理由で記事化は見送った。その際の社内の議論や記者の葛藤を紹介した。
中咲記者は「記者がネットの情報とどう向き合っているのか。確かな情報を届けるためにこれまで以上に足で稼ぎ、議論して報じていることを読者に伝えたかった」と話す。
どうすれば若者に新聞を読んでもらえるか。ITを使った新たなニュースの伝え方を探るハッカソンの様子も伝えた。普段新聞になじみのない若い参加者から、新たなアイデアが数多く出された。中咲記者は「記事を書いて終わりではなく、どう届けるかが重要だと痛感した。新聞界の中だけで模索し続けるのではなく、異業種の知恵に活路があると感じた」という。(愛)