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2016年 1月26日
地域の変化を書き続ける
秋田魁「地方創生特区 仙北市の挑戦」
2015年8月、田沢湖や乳頭温泉郷など日本屈指の自然を有する秋田県仙北市が、県内唯一の「地方創生特区」に指定された。政府が地域活性化のために医療・起業で規制を緩和する一方、地域がどう変化するか理解する住民は少ない。15年12月17日から5回にわたり、仙北市の取り組みと課題を追った。
横手支社の斉藤敦編集部長は「『地方創生特区』とは何か、具体的にどんな影響があるのか、県民にはほとんど知られていない。内容をかみ砕いて読者に提供したいと考えた」と話す。
仙北市が政策の目玉にしたいと検討しているのが、玉川温泉を核とした医療ツーリズムだ。医師不足を背景に外国人医師の受け入れを促進するだけでなく、多種多様な泉質を生かして国内外から温泉療法を目的とした観光客の呼び込みを目指す。しかし、方向性は決まったものの、事業化の道筋は見えていない。
記事を担当した角館支局の猪俣光太郎記者は、14年5月に一足早く特区に指定された兵庫県養父市に注目。現時点で全国に9地域ある特区の中から養父市を選んだのは、人口規模や町全体の雰囲気が仙北市と似ていたからだという。
養父市は旅館業法施行令の特例が認められ、歴史的な建造物を民宿やレストランとして活用するなどの取り組みを実施。しかし、先進地であるにもかかわらず仙北市同様、住民の理解が進まない現状を抱える。
猪俣記者は養父市を取材した際、広瀬栄市長の「口を酸っぱくして、繰り返し丁寧に住民に説明しなければならない」との言葉が印象的だったという。仙北市が特区に指定されて今年で2年目を迎える。猪俣記者は「仙北市の事業者にとってはある意味勝負の年だ。広瀬市長と同様、たとえ小さな話題でも自分は記事を書き続けるしかない」と力を込めた。(柳)