2016年 3月8日
旅行者減少からの展望は

デーリー東北「再生 十和田観光―国立公園80周年」

 東北の十和田八甲田地域が国立公園に指定されてから、2月1日で80周年の節目を迎えた。十和田八幡平国立公園は、2003年をピークに観光客が減少傾向にある。

 東日本大震災後の風評被害が加わり、十和田湖観光の中心拠点である休屋地区では、商店や宿泊施設が次々と休廃業に追い込まれた。観光再生に向けた模索が続く十和田の課題と展望を、西舘康司十和田総局長が2月1日から5回にわたり伝えた。

 ある日、西舘氏が十和田地区の食堂で食事を取りながら主人と雑談していると「十和田は観光地としても低迷しているが、地域としても生き残るのだろうか」と言われた。限界集落に近付きつつあるのではないかという地元の人々の不安が伝わってきたという。

 連載の根底にあったのは、十和田を盛り上げたいとの思いだ。「暗い部分ばかりでなく、明るい話題を紹介したいと考えた」と西舘氏は説明する。十和田最大の観光資源である豊かな自然環境を生かした新しい試みを中心に取り上げた。

 13年、日本蘚苔(せんたい)類学会から「日本の貴重なコケの森」に選ばれた奥入瀬渓流では、NPOが子供向け自然体験プログラム「おいらせ自然学校」を開講している。足元に広がる天然のこけ庭をじっくり観察し、自然に親しんでもらうことが目的だ。学校単位での呼び込みも図り滞在型観光を推進していきたいという。

 このほか、古い絵地図を基に十和田神社境内の鳥居を復元しパワースポット化を目指す取り組みなどを紹介した。

 西舘氏は「県民にとって十和田湖は主要な観光地であるとともに愛着のある土地だ。地元紙として魅力を発信し、地域の人々が希望を持てるような場にしたい」と語った。(柳)

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