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2016年 3月15日
薬物依存の現状と課題を追う
宮崎日日「忍び寄る闇」
インターネットの普及などで、覚せい剤、大麻、危険ドラッグなど違法薬物の危険が身近に迫っている。何がきっかけで手を出してしまうのか。抜け出すためにどんな苦しみがあるのか。昨年12月から県内の薬物依存の現状と課題を追っている。
危ない橋を渡り暴力団や売人から購入しなくても、違法薬物はインターネットで買える。安価な危険ドラッグもまん延する。連載ではファミリーレストランで堂々と売買する様子を紹介した。川路善彦報道部次長は「入り口は何気ない日常に存在することを読者に伝え、薬物の恐ろしさを啓発しようと考えた」。
第1部で、かつて薬物に手を染めて今なお、禁断症状に苦しむ人の姿から薬物依存の実情を伝えた。報じる前には当事者や施設と丁寧に話し合ったものの、特定されることを恐れた周囲が反対し載せられなかったケースもあった。報道部の村永哲哉記者は「特定されないため名前、年齢、居住地は明示せず、エピソードをできるだけ具体的に書いた」と説明する。
村永氏は読者の興味を喚起したり、差別を助長したりしないかといった悩みもあったと話す。薬物乱用の過去が明らかになったことで就職の内定が取り消され、再び手を出してしまった女性を紹介。依存性の強い違法薬物の恐ろしさを伝えつつ、必死に第二の人生を歩き出そうとする声を伝えた。
今年1月から連載した第2部では、県内には専門の治療プログラムがない、就職率が低いといった社会復帰のために立ちはだかる課題を紹介。村永氏は「一度手を出してしまった人が社会に受け入れられるために、理解を広めていかなければいけない」と話す。今後、地域と連携するリハビリ施設など、社会での受け入れが進む他地域の事例などを取り上げる。(新)