2016年 4月5日
北陸新幹線生かす方策は

新潟「快走の陰で ―開業1年 沿線は今」

 昨年3月に北陸新幹線が開業して1年がたった。自治体のイベントがにぎわう一方、新潟県の上越市では、特急の廃止により人通りが減った直江津駅や、駅周辺の開発が道半ばのJR上越妙高駅など、新幹線を生かしきれていない側面がある。開業に沸いた1年の陰で、模索を続ける沿線の課題に焦点を当てた。

 報道部の笹川克年部長代理は「開業しただけで地域が盛り上がる訳ではない。1年の節目に、新幹線をどう活用していくのか、県全体で考えていくべきではないかと投げ掛けたかった」と説明する。開業1年の明るい話題を別刷り特集で伝えた3月14日から3回にわたり連載した。

 初回は、特急「はくたか」の廃止で地域の玄関口の役割を失い、1日当たり約700人の乗客が減った直江津駅を紹介。駅前の居酒屋で40年以上駅を見てきた店主の「直江津で商売している人で、新幹線が通って良かったなんて言う人はいない」との声のほか、宿泊の稼働率が落ちていることなどを伝えた。

 上越支社報道部の石井英明記者は、上越の課題を指摘しなければとの思いを抱く一方、北陸新幹線になじみの薄い中越・下越といった他地域の読者に伝える上で、暗い話題にばかり焦点を当てたくなかったと語る。糸魚川市の糸魚川駅前通りの歩行者の数が開業前に比べ伸びたとの調査結果や、商店街同士が連携したイベントの企画が生まれていることなどを伝えた。

 石井記者は、観光客誘致などの面で、北陸新幹線が投げ掛けた課題は、上越地方だけの問題ではないと話す。こうした意識を他の地域の読者にも持ってもらえるような報道をしていきたいという。「他地域へ視野を広げながら、行政・民間の動きを報じたい」と語った。(斎)

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