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2016年 4月26日
地域活性化へ複雑な思い
八重山毎日「自衛隊がやってきた 配備直前の与那国を歩く」
日本最西端の国境の島・沖縄県与那国に3月28日、レーダー監視などを任務とする陸上自衛隊沿岸監視隊が発足した。人口1490人の島に、隊員160人と家族94人が移住してきた。
配備賛成派と反対派、住民それぞれの思いが交錯する。「この島は今後、どう変わっていくのか。島の自治はどうなるのか」。比嘉盛友記者は3月24日から4回連載で、住民の複雑な思いを追った。
石垣島に約120キロ、台湾に約110キロの与那国町は、人口減少に歯止めがかからない。かつて石垣市、竹富町との合併を模索したが、実現には至らなかった。町は台湾との国際交流による自立を目指し「国境交流特区」を申請したが、国に却下された。自立のための振興策が不調に終わり、自衛隊誘致へとかじを切った一面がある。
「住民の口は重かった」と比嘉記者は振り返る。その背景には、配備の賛否を問う住民投票が昨年3月に行われ、住民の意見が二分されたことがある。賛成派が過半数を制したものの、住民間にしこりを残した。
配備による人口増で税収増、消費の活性化、小学校の複式学級解消などが期待される。移り住んだ隊員、家族の姿に、にぎやかになったと喜ぶ住民もいる。
一方、配備は国防が理由で、地域に活気を与えるためではないと考える住民もいる。レーダーが発する電磁波への不安もある。
今後、元々暮らす住民が減り続けることも想定される。それは人口に占める自衛隊関係者の比率が拡大することを意味する。自衛隊に翻弄(ほんろう)され地域は分断されたが、住民が今後のまちづくりを考えていかなければならないとの声も上がる。
比嘉記者は今後も島の姿を取材していく考えだ。(有)