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2016年 5月17日
変わる結婚、家族の在り方
上毛「出会いのカタチ」
婚活がうまくいかず悩む人、結婚しない子供にもどかしさを感じる親、恋愛に消極的な「草食男子」、不安定な雇用条件から結婚をためらう男性―。
ライフスタイルの多様化や経済不安など社会の変化に伴い、結婚やカップルの在り方は一様ではない。1月からの連載で、変わりゆく出会いの姿を紹介する。
「婚活」「格差」「性差」などテーマを決め、10回程度連載する。それぞれの課題を乗り越え、新しい家族の形を手に入れようとする姿を追う。取材対象者の希望から多くの事例は仮名。毎回、生涯未婚率の変化や非正規雇用者の平均給与など客観的なデータも紹介する。小渕紀久男報道部長は「一つの結論を示すのではなく、読者に多様な事例を提示しようと考えた」と意図を語る。
キャップを務めた報道部の関口健太郎記者は「身近に存在する問題にもかかわらず、改めて取材対象を探すことは難しかった」と話す。連載前に当事者の声を聞くためにテーマごとに座談会を開催し、取材の端緒にした。参加はSNSで呼び掛けた。
10代で結婚、出産した高崎市の女性は、夫の収入が多くない。しかし、同居する義母の支援を得ながらの共働き生活に満足しているという。働く女性の姿を伝え、男女に根強くある性別役割意識を変えていくべきではないかと問題提起する。
関口記者は取材を通して、世代間の意識の隔たりを強く感じたという。「生き方や価値観が多様化する中、新しい夫婦や家族の形態に寛容な社会が必要ではないか」と感想を述べる。
LGBT(性的少数者)や中高年の婚活など、社会的に理解が進んでいるとはいいがたい話題も取り上げた。今後は事実婚も扱う。関口記者は「当事者の思いや境遇を具体的に紹介することで、多くの人が多様性を肯定できるようになれば」と話している。(新)