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2016年 6月21日
地方行政や住民意識を変える
福井「Iターンのススメ 若者らの視点」
過疎化、高齢化に直面する地方にとって、Iターンなどの若い移住者を呼び込み、定着を図ることは大きな課題だ。補助金など移住を促進する制度は各地にあり、移住者が来れば地域のPRにもなる。県外からやって来た若者と受け入れる側の取り組みを、6月3日から6回連載で伝えた。
地方の良さを報じる記事はたくさんある。しかし、入ってくるより出ていく人の方がはるかに多い現実を前に「もう一歩踏み込むことが必要だと考えた」と取材した社会部の堀英彦記者は語る。職をどうするのか、よそ者意識をどう克服するのか。地方を目指す若い人の気持ちに寄り添い、地方行政や受け入れる住民の意識を変えられないか。
東京を離れ福井の農業生産法人で研修したあと就農した30代の夫婦。隣家の女性は「彼らの思いを理解した上で、構えずに自然につきあうことが大事」として受け入れ、一家は集落に溶け込む。
東京での仕事を辞め県内の会社で木製雑貨を作る男性、東京のIT企業を辞めハローワークで知った越前打刃物の求人に応募した男性など、ここでしか生み出せない「ものづくり」に価値を見いだした人々と、それを受け入れる伝統工芸の世界がある。
Uターンしてきた地元出身の自治体職員も、「生活を楽しんでいる様子が伝われば引きつけられるはず」と、移住を考える都会の若者をSNSの情報発信で後押しする。
連載では都会から来た若い人のとがった言葉遣いをどう記事にするか苦慮する場面も。よそ者の話だけで記事が上すべりな印象になることも心配した。これからも人口の減少が予想される中、学校再編で地域や教育はどう変わるのか、女性の活躍の場は…。堀氏は「今後もさまざまな角度から地域の在り方を探っていきたい」という。(有)