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2016年 6月28日
模索する産地 再興の道は
佐賀「有田焼400年 未来へ挑む」
創業400年を迎えた有田焼。日本の磁器発祥地として、国内外で高いブランド力を誇ってきた。しかし、生活スタイルの変化などに伴って近年は低迷が続く。2014年の主要企業の売上高はバブル景気末期の1991年に比べ6分の1程度まで減っている。
佐賀は2月に始めた連載で、窯元や絵付け職人、商社など関係者の新たな取り組みを伝える。井上武報道部デスクは「有田焼再興の道を探りたい」と語る。
取材を担当した有田支局の石黒孝記者は「産地全体が有田焼のブランド力に寄り掛かっていたのではないか」との商社社長の言葉が印象に残るという。固定概念に縛られない模索が今も続く。
ある有田焼の総合商社は、有田の外からデザイナーを招き商品を開発した。個食化や洋食の浸透など食文化が多様化する中で、提案されたのは「パンケーキを食べる皿」。和食器に欠かせないはずの高台がなく、縁の部分が立ち上がった形状だ。
「これを有田焼といえるのか」との反発もあったという。しかし、この商品シリーズは世界的なデザイン賞で1位に輝いた。ヨーロッパなどでも販売が展開される。
このほか、百貨店や専門店だけでなく、外食チェーン店や100円ショップにも販路を広げる窯元などを紹介する。
佐賀県は創業400年に合わせた事業として、パリで開催のインテリア・デザイン国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に2014年から3年連続で有田焼を出展する。真価が問われるのはそうした行政の後押しがなくなる来年以降だ。
連載は「胎動」「匠の技」「移ろう流通」と3部まで終了。今後、若い女性に人気のある長崎県の波佐見焼など他産地の取り組みも取材する予定だ。石黒氏は「有田の人々にも参考になる情報を出して支援したい」と話す。(梛)