2016年 8月23日
生産者の生き残り戦略を追う

岩手日報「コメに懸ける~岩手の挑戦」

 岩手県が開発した新品種「銀河のしずく」が今秋、ブランド米競争に参入する。コメづくりの将来が見通せない中、7月31日から5回の連載で、生産者の生き残り戦略と課題を追った。

 2018年産米からの減反廃止、予想される環太平洋連携協定(TPP)の発効など、コメづくりは国の政策転換に翻弄(ほんろう)される。需要は全国で毎年約8万トン減り、将来的にさらなる減少は避けられない。また、主食用米の過剰生産による米価下落も懸念される。農家の不安は大きく、コメの話題は暗くなりがちだ。そこで、あえて「将来への挑戦として明るく前向きなものにしたいと考えた」と、連載を統括した神田由紀報道部長は語る。

 「銀河のしずく」は県産初のブランド米として大きな期待を集める。しかし、市場には特Aの高い食味評価を受けたコメやブランド米があふれ、産地間競争の道のりは険しい。今後の販売戦略が大きな鍵を握る。

 「銀河のしずく」の栽培に向かない地域でも、県内には特徴的な品種を少量生産し、コメの新たな可能性を体感している農家がある。山からの水が豊かな中山間地の棚田で生産されたコメの味が評判を呼び、東京のデパートでは2キロ税込み1296円で販売される。県内各地の生産者は、栽培環境や経営規模に応じて多様な打開策を描く。

 取材にあたった報道部の清水美穂記者は県内各地に足を運び、農家の話を直接聞くよう心がけた。「コメづくりにはたくさんの課題があり、奥が深い。勉強しながらの取材だった」と振り返る。

 今回が連載第2部。コメづくりの季節を追って、第1部は田植えの時期にあたる5月に始まった。収穫を迎える9月に第3部が始まる。その後には、県外への販売戦略なども取り上げていきたいという。(有)

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