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2016年 10月11日
居場所失う原因取り除くには
山梨日日「孤人社会」
人を孤立の縁に追い込む入り口は社会の至る所にある。
認知症にかかった親の介護のための離職、発達障害による社会的不適応など、さまざまな理由で居場所を失った「孤人」を、企画報道グループの記者4人とカメラマン1人が取材する。
2014年8月から翌年6月まで「ひきこもり」をテーマに9部構成の長期連載を掲載した。今年1月末から始まった今回の企画はさらに対象を広げた。「孤立は生活の質を著しく低下させる。その原因をどう取り除くかを考えたかった」とキャップの前島文彦記者は語る。
8月26日から9月4日まで7回掲載した第5部は「独りで生きる親たち」。県内のひとり親家庭は9281世帯(14年)。統計が残る1976年以来、最も多い。
いったん自分の居場所を見失うと、次の足場を見つけるのは難しい。しかし、一筋の光を見いだした人もいる。
小学生の息子と2人暮らしの川野久美子さん(46)。居酒屋の仕事を終えるのは深夜2時だ。助けを求めようと思ったことさえなかったが、引っ越し先の自治会で役員を頼まれ、しぶしぶ引き受けたことが転機となる。
女手一つで子育てをしていることを知った周りの人が気に掛けてくれるようになり、安心感が生まれた。4月に母子家庭の会「サンフラワー」を設け、支援活動に携わる。
狭い地域社会では世間体を気にして孤立してしまう人がいる一方、「都市部にはないつながりも生まれる」(前島氏)という。
地域をよく知る民生委員は有力な情報源だと前島記者は話す。実名を出すことをためらう人も多い。その場合は匿名でも伝える価値があるかどうか議論しているという。
今後は「貧困」などを扱う。年度内に連載を終える予定。(O)