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2017年 5月23日
品質向上に取り組む協業体
長崎「養殖最前線 県内の動向を追う」
天然水産資源の減少に比例して、養殖の重要性は増している。4月13日付から全3回の連載で、長崎県内で複数の養殖業者が「協業体」を作り、品質向上や効率化に向け取り組む姿を追った。
長崎県はクロマグロの養殖量で全国1位。トップの秘訣(ひけつ)・課題に興味を持っていた編集局の野崎英人記者は、熊本に住む祖父母の「養殖ものはおいしくない」との思い込みに違和感を覚えていた。昨年12月に長崎市内で開かれた養殖クロマグロ品評会を取材した際に、養殖ものと天然ものを見分けられず、養殖ものの品質の高さにあらためて驚いた。
県総合水産試験場はクエの養殖研究で全国有数。未成魚を捕獲し育成してきたクロマグロについても、卵から育てる人工種苗の研究を進めている。しかし、卵から稚魚にする際の生存率は3%を超すにとどまる。また、天然未成魚から育てるものに比べ、成長速度が遅く餌代がかさむといった課題もあり、コスト削減に向けた研究の必要性を報じた。
担い手確保の面でも、生産性向上は欠かせない。そこで複数の業者が餌や出荷作業を統一し、コスト削減、安定供給を図る「協業体」化の取り組みを紹介した。県が今年度から推進している。
クロマグロを養殖する協業体には独自ブランドの確立、飼育技術に関する勉強会開催などの工夫で、県内で半分のシェアを占めるまでになったところもある。記事をきっかけとした業者間の交流や、技術交換を期待した。
野崎記者は4月に報道部から整理部に異動し、現在取材に携わる機会はない。世界的に漁獲制限が進む中、国の政策として人工種苗を推し進めるべきか、養殖業者の経営基盤を安定させる方策は何か、他県の現状は―現場に戻った時のためにウオッチする日々だ。(野)