2017年 7月25日
ハコに命吹き込むのは人

秋田魁「文化施設と街づくり」

 「日常的に人が集い交流し、楽しむことができる『県民・市民の広場』となることを目指す」。秋田市の県民会館を解体し、跡地に県と市が共同で建設する新文化施設の整備計画の一節だ。県・市は、大規模なコンサートや演劇の開催だけでなく、住民が日常的に芸術や文化に触れる場にしたいと構想する。

 「施設に命を吹き込むのは人」(渡辺歩・政治経済部長)との思いから、6~11日付までの全6回で、人々を呼び込める施設の在り方を探った。政治経済部の嶋崎宏樹記者も「施設に求める機能を計画段階から住民に考えてもらいたい。利用者こそが主人公なんだと読者に訴えたかった」と話す。

 新施設は市民の文化活動の練習・発表拠点でもある。県民会館の付属施設を利用する和太鼓グループや、大学のバンドサークルに話を聞き「外から練習風景をのぞけるようなガラス張りの練習室がほしい」などの要望を取り上げた。設計について文化団体と住民の話し合いが持たれる一方、若者の意見が反映される機会が少ないとの課題も報じた。

 「『若者にたむろされては困る』などの理由で、街中の〝余白〟を排除してきたのが近代の街づくりの流れ」。取材にそう語ったのは秋田工業高専の助教だ。施設建設を契機に、文化を核としたにぎわいをどう生み出すのか。嶋崎記者は、地域の研究者らと共に、施設が建つ市中心部の魅力を探るべく街を歩いた。

 JR秋田駅近くには水や緑が多く、季節ごとにさまざまな表情を見せる。休憩スペースなど住民の居場所が増えればもっと楽しい街になるとの指摘を紹介した。「新施設づくりは地域活性化のチャンス。今ある街の人・もの・資源に目を向け、地域のためにどう生かすかを考えるきっかけにしてほしい」(斎)

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