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2017年 8月1日
高齢者の不安を浮き彫りに
埼玉「老いと向き合う」
高齢化が進むニュータウンの自宅で将来を案じる70代男性、老老介護の日々に心身をすり減らす80代男性、障害を持つ息子の今後を心配する70代女性―。6月1日から始まった連載の第1部「孤独の現場から」で、県内の高齢者の悩みや不安をルポ形式で伝えた。
埼玉県民の平均年齢は低く、全国有数の「若い県」である一方、高齢者の増加も著しい。中嶋基人報道部副部長は「団塊世代が75歳を超える『2025年』問題も迫る今、記者の目で現状を確かめ、読者と課題を共有することが狙い」と話す。
県中部・鳩山町にある鳩山ニュータウンは高度経済成長期に完成した大規模住宅地。住民の半数近くは65歳以上だ。中心商店街はシャッターが下り、人通りはまばら。38年前に入居した男性は、ほとんど寝たきりの妻を介護する日々。息子3人は自立して家を出た。入居時の興奮や、息子たちの運動会などの思い出を語りつつ「もう少し年を取ったらどうしたらいいんだろう」と不安を漏らした。
中嶋氏は「多くの人が自分がいなくなった後を心配していた。それが印象に残った」と語る。年老いた夫に介護を受ける女性は「お父さんがいなくなれば、うば捨て山に行くのかな」、障害のある息子を持つ母親は「今住んでいる家はなくなり、家の墓は引き継げないかもしれない」と吐露する。「取材に当たった記者は心の内を話してもらうことに苦心していた。老いゆく人たちが不安を抱かざるを得ない社会が明らかになった」と中嶋氏。
高齢者にとどまらず、30、40代の読者からの反響も多かったという。今後は認知症や老老介護などのテーマを掘り下げるつもりだ。「高齢化問題の解決策を見いだせるような企画にしていきたい」 (新)