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2017年 11月7日
太古の夢追う調査団に密着
山陽「ゴビを行く 岡山理科大 モンゴル恐竜調査」
見渡す限りの地平線。乾いた褐色の大地が広がる。昼間の気温は40度前後。朝晩は夏でも10度を下回ることがある。
文化部の稲垣心也記者が8月、モンゴルのゴビ砂漠南東部・シャルツァフでの恐竜化石調査に同行した。調査隊は岡山理科大とモンゴル科学アカデミー古生物学地質学研究所の合同チーム。9月15日付から5回連載で、恐竜王国の痕跡を追う専門家集団の活動を伝えた。
共同調査は25年の歴史を持つ。2013年、それまで調査隊を送り出していたバイオ企業の林原(岡山市)から岡山理科大が事業を引き継いだ。
岡山理科大の恐竜研究は昨秋、文部科学省の助成事業に選ばれた。稲垣記者はこれを機にこの分野を担当。山陽の記者が調査隊に同行するのは1994年以来2度目だという。
調査では、昨夏に掘り当てた長さ106センチの足跡化石に連なる三つの足跡が出土。大型植物食恐竜のティタノサウルス類がのし歩いた痕だ。推定全長は30メートル。
「左右の足が開き、爪が外を向く〝がに股〟。歩幅は狭く、歩行はかなり遅かっただろう」。成果に声を弾ませる指揮官、石垣忍岡山理科大教授の分析を伝えた。
稲垣記者は「通常は成果が出てから話を聞くことが多い。発掘現場で研究者たちの生の反応や、出土した化石を巡る議論に立ち会えたのは新鮮だった」と話す。
誰もが聞き覚えのあるティラノサウルスやトリケラトプスの生息地はいずれも北米。アジアの大地を闊歩(かっぽ)していた恐竜の名前はあまり知られていない。欧米に比べアジアは研究が進んでいないからだという。
まだまだ謎が多いアジアの恐竜の生態。そのぶん「未知の発見への夢も広がる」と稲垣記者。太古のロマンをひもとく旅をこれからも追う。(酒)