2017年 11月21日
北国の地の利と人材を説く

中部経済「最北の中核市・旭川  企業誘致に挑む」

 企業誘致に力を入れる北海道旭川市。モノづくりが盛んな中部地域から既に数社が進出している。物流拠点としての利便性、自然災害のリスクの低さや冷涼な気候が特徴だ。先駆けとなった2社に旭川の魅力や手応えを取材した。10月25日付から3回連載。

 近年、名古屋市では全国の自治体による企業誘致セミナーが相次ぐ。旭川市は昨年に続いて開催。市長自ら進出の利点を訴える。連載を担当した東京支社の佐々木閑記者は「中部のモノづくりの力が注目されている。旭川は国内移転の一つの選択肢になると伝えたかった」と話す。

 旭川市は3大都市圏と航空路線で結ばれている。産業団地を造成中で、市は工場新増設の助成金制度を充実させる。

 事業継続計画(BCP)の観点からも注目が集まる。政府の予測では今後30年間に旭川で震度6弱以上の地震が発生する確率は0.38%。名古屋(46%)、東京(47%)と比べ圧倒的に低い。名古屋市のソフトウェア開発会社のデジタライズは、データセンターを設置した理由に自然災害への強さを挙げる。情報保全の観点からセンターの所在地は秘密にされること多いが、顧客の安心感を得るためあえて場所を明かす。

 夏でも涼しく空調への設備投資も大幅に抑えられる。「進出を後押しするため、具体的な利点を伝えようと心掛けた」(佐々木記者)。

 モーター巻き線機製造のベステック(愛知県春日井市)の担当者は、雪国ならではの粘り強い人材こそが魅力だと語る。地元高校生をインターンシップに受け入れ、採用する事例も多いという。市は企業ごとに人材育成研修に取り組むなど手厚い支援体制を整える。佐々木記者は「企業移転では人材確保が課題になる。その点で旭川が強みを持っていることを伝えた」と語った。 (新)

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