2017年 11月28日
JRと四国の行く末問う

愛媛「鉄路の現在地」

 国鉄民営化から30年。赤字路線を多数抱えるJR四国は厳しい経営が続く。黒字を出しているのは瀬戸大橋線だけ。

 四国各県の人口が減る中、地域社会の維持のために鉄道をどう位置付けるか。「県民の合意形成が不十分と感じた」と植木孝博高松支社編集部長。9月14日付から全6回の連載で問題提起した。

 苦境の要因の一つは、高速道路網の整備が進んだことにある。30年前は11キロだった域内の高速道路の総延長は現在529キロ。松山―高松間の高速バスの所要時間は約2時間30分。同じ区間を走る予讃線特急とほぼ同じ時間で行き来できる。自家用車を使う人も多い。予讃線は運行本数が多い分経費もかさみ、損失が膨らむ。

 過疎が追い打ちをかける。高知県と愛媛県をまたぐ予土線は、2014年に初代「0系」新幹線を模した列車を走らせ話題になったものの、管内で最も利用客が少ない。年間1億円未満の収入に対し、数億円の維持費がかかる。

 40年までに四国の人口は2割以上減るとの予測もある。JR四国の見通しは「利用客が2割減ると今の路線の維持は厳しい」(半井真司社長)。しかし、赤字路線を廃止すれば黒字の瀬戸大橋線への人の流れも絶たれる。「四国の維持に鉄道をどう生かすか議論が必要」との半井社長の訴えを伝えた。JR四国と4県、経済団体は8月に懇談会を発足させた。路線維持の方策について議論する。

 植木氏は「JR四国と沿線地域の協力による観光客の呼び込みが有効だろう」とみる。連載で取り上げた松山発着の観光列車「伊予灘ものがたり」は一つのモデルケース。途中駅や沿線の大洲城から住民が列車に手や旗を振りもてなす。「駅は地域の核。JR四国の今後は鉄道を使わない人にも無関係ではない」(植木氏)。(路)

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