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2017年 12月19日
大動脈整備の効果と課題追う
山形「東北中央道開通 置賜 高速新時代」
東北中央自動車道の福島大笹生インターチェンジ(IC)―米沢北IC間の約36キロが11月4日開通した。これにより高速道の整備が遅れている山形県置賜地域が首都圏と直結する。置賜総支社の橘拓編集部長は「単に高速道ができて終わりではなく、どう活用するかが重要」と語る。整備効果を最大化するための課題を、同6日付から全5回の連載で検証した。
トラック運転手が高速道を使えば長時間労働是正につながる。県トラック協会への取材でも定時運行に期待する声を聞いた。
思いがけないことも耳にする。米沢電機工業会の竹下泰平会長は「米沢市と福島市は互いに通勤圏となる。人材確保の幅は広がるが、奪い合いになりかねない」と懸念。復興事業が続く福島の賃金は山形より高く、福利厚生を含めた雇用面の競争力を高める必要性があると伝えた。
地元の商工会議所も、経済活性化の要素として高速道開通に期待をかける。米沢市内の五つの商店街組織でつくる「YONEZAWAあきない協議会」は、開通を祝うのぼりや商品に貼るシールを製作し配布した。統一感を出し、衰退が目立つ商店街の活性化につなげたいと意気込む。
また、高速道でつながる地域間の連携も紹介した。米沢、福島、相馬の温泉旅館関係者は会員制交流サイトの共同キャンペーンで観光客に相互訪問を促す。
今回開通した区間は無料。しかし昨年12月の国土交通省の調査では、近隣住民の9割以上が知らなかった。首都圏に人やモノが流出するストロー現象を招く恐れもある。認知度アップのためのPR事業、各市町が連携した効果的な魅力作りの必要性を訴えた。
橘部長は今後の展開について「恩恵を受けない地域もある。マイナス面にも注目していきたい」と語った。(野)