2018年 1月30日
農家民泊に誘客のヒント見る

宮崎日日「『ようこそ外国人さん』  宮崎インバウンド最前線」

 2016年、宮崎県に宿泊した外国人旅行者は延べ24万5千人。3年間で約2倍に増えた。ただし九州の他県に比べ伸びは緩やかだという。「現状を伝え、受け入れ体制を後押ししたい」と担当デスクの清水克彦報道部次長。1月3日付から5回連載で記者5人が観光地の課題などを検証した。

 個人旅行者が増え、旅の「足」充実が課題の一つに挙がる。県内のバス事業者が発行する全路線で使える乗車券の売れ行きは好調だが、運行本数の少なさに旅行者の不満が募る。

 高千穂町はSNSなどを利用して外国人客の呼び込みを図る。しかし観光客の足である周遊バスは平日運休。これでは周辺観光への広がりは期待できないと訴えた。

 観光客を受け入れる側の温度差も取り上げた。インターネットで外国語の情報発信をしている飲食店はごく一部にとどまる。外国人が好みの店を見つけることすら難しい。「いつ来るか分からない外国人に対応する余裕はない」といった経営者の本音も引き出した。

 今後の宮崎観光の方向性を、西諸県地域の農家民泊の取り組みに見いだした。受け入れ人数は限られるものの「日本の家族の暮らしが見られて新鮮」と好評。政府観光局理事の「外国人が地方に求めるのはその土地ならでは心に残る体験。宮崎の神話や風景の魅力を磨き上げて」との指摘も紹介した。

 高校生が外国人旅行者の要望をアンケートで集めたり、通訳を務めたりする交流も進む。「地元についての知識の大切さを認識した」という高校生の声も伝えた。

 外国人旅行者と接する中で記者が漏らした「新しいものを作るのではなく、今あるものを楽しめるようにすることが大切だと気付いた」との感想が、県内の課題を象徴していると清水氏は語った。(路)

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