2018年 2月27日
悔いのない旅立ちとは

室蘭「施設で迎える『最期』 看取(みと)り―西胆振管内の現在」

 病院ではなく、住み慣れた施設などで最期を迎えたいと願う人は多い。「ついのすみかを見つけた人は、どのような最期を迎えるのか」(報道部・松岡秀宜記者)を追う不定期連載。2017年12月10日付から始まった。

 松岡氏は13年から医療・福祉分野を担当する。北海道登別市から豊浦町にかけての西胆振地域の現状を取材した。

 自分らしい人生の終末をどこで迎えるかは、本人と周囲にとって大きな問題だ。第3回から2回に分け、16年6月に伊達市のケアハウス「セイントヒルズ」で亡くなった長岡巴さん(当時89歳、男性)を紹介した。

 3人の娘に迷惑を掛けたくないと自ら入所していた長岡さん。施設では菊の手入れやパークゴルフを楽しんだ。

 繰り返しがんを患っていたものの、入所時の要介護度は低かった。次女で看護師の大濱美智子さんは、自宅で介護しようと仕事を辞めた矢先の父の決断に戸惑う。施設の体制も不十分と感じた。

 終末期ケアに携わるのが初めてだったセイントヒルズは改善を進める。隣接する病院と連携し訪問診療を受けられるようにした。介護・看護のスタッフ間の情報共有も進め、大濱さんには、長岡さんの様子や体調をメールできめ細かく伝えた。

 長岡さんが旅立った後、大濱さんは「父は、最期の瞬間まで『十分に生きた』という言葉がぴったり」とスタッフに感謝した。看護主任も「本人・家族・施設が、それぞれ悔いの残らないような関わりを持つことが重要だ」と松岡氏に語った。読者から「親をみとらざるを得ない自分に置き換え涙が出た」などの反響があったという。

 松岡氏は「施設側からの問題提起や薬剤師、栄養士らとの関わり方などを取り上げ、インタビューや座談会も収録したい」と今後の抱負を語る。(野)

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