2018年 3月6日
独身者は現代社会の鏡

下野「未婚予想図 2035年 半数ソロ社会」

 2015年国勢調査によると、栃木県は30~44歳の独身男性が8万3950人。女性は5万4136人だった。男性の超過率は36%で、愛知と並び全国1位。昨年6月に「独身男性過多」と報じると「男性に対して失礼だ」といった声が届いたという。

 数値に表れない独身者一人一人の生き方を伝えなければ――それが連載の出発点だった。1月14日付から「男余り」編と「女の幸せ」編で計17人の独身者を追った。

 県央の会社員・西村景一さん(43)=仮名=は10年前、交際していた彼女に「幸せにできない可能性が高い」と別れを告げた。当時勤めていた建設会社の給料は手取り月20万円。増える見込みはなく、家族は養えないと判断した。

 未婚の要因は低収入だけではない。雇用の不安定化や女性の社会進出も影響している。連載のキャップを務めるくらし文化部の小林睦美記者は「未婚者一人一人が現代を映す鏡だ」と話す。

 「女の幸せ」編に登場するシングルマザーは結婚しなかった理由について「(相手の異性に)金銭上も、性格上も依存していなかったから」と小林氏に語った。「子供には父親が必要だという考えが自分にもあったが、価値観を揺さぶられた」。2児の母でもある小林氏は振り返る。

 多様な生き方を受け入れることが求められる時代。それでも取材を断られたり、取材後に「やはり掲載しないでほしい」と言われたりしたケースがあった。「『未婚』への根強いマイナスイメージを痛感した」と小林氏。それぞれの生き方を尊重しようと取材班で認識を共有していると語る。

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の推計では、17年後には国民の半数が独身となる。今後は少子化や「終活」などの視点を取り入れていくという。(斎)

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