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2018年 3月27日
国際定期航路 復活の道探る
苫小牧「売り込め!苫小牧港 ポートセールスin台湾」
2016年の財務省統計では、北海道・苫小牧港から台湾への輸出量は野菜類や紙など約4万トン。12年4月以来、貨物不足を理由に台湾との定期コンテナ便は運航していない。報道部の室谷実記者は1月、道産食品の輸出拡大と定期航路の再開を目指す苫小牧港関係者の台湾訪問に同行。2月1日付から3回に分け、誘致事業から見えた実態と課題を伝えた。
苫小牧港利用促進協議会一行は1月22日、桃園市で開かれた北海道物産展に足を運んだ。苫小牧港から運ばれたタマネギなどの野菜に加え、菓子や加工品が並ぶ。会場には平日にもかかわらず大勢の人が集まっていた。道産食品を扱う24社が出展。現地企業との商談を成立させた業者もいた。協議会会長の岩倉博文苫小牧市長は「道産食品の人気の高さが確認でき有意義だった」と帰国直前の空港で語った。
室谷記者は「台湾との友好関係が深まれば地元企業のビジネスチャンスも広がる」とみる。現地の港湾関係者や物流企業を集めた交流会では、両国の関係者が積極的に意見交換する姿が見られ「台湾との物流強化の可能性は高い」と感じた。
ただし苫小牧と台湾を結ぶ定期便再開のめどは立っていない。加えて輸出促進の一矢として昨年11月に始まった小口貨物の海上輸送事業の知名度不足など「解決すべき課題も多い」。連載ではこうした現状も訴えた。
台湾港務公司の陳栄信研究員からは「台湾への輸出品の開発、確保が航路構築の一つの鍵を握る。ビジネス発展に期待したい」とのメッセージを受け取った。「現地では道産食品に対する注目が高まっている」と室谷記者。苫小牧港には道内最大級の大型冷凍冷蔵倉庫の建設も決まった。「輸出量の拡大が道民の経済振興につながれば」と願う。(海)