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2018年 5月15日
週1回の学びやに密着
河北「学び、再び 仙台自主夜間中学の今」
国は2017年3月、各都道府県に最低1校の公立夜間中学の設置を促す指針を示した。不登校のまま中学を卒業した人や、在日外国人らの就学希望に応えるためだ。宮城県では仙台市が最有力地。3月21日付から全5回。当時、入社1年目だった八巻愛知記者が自主夜間中学の生徒と教師の人生を通じ、その意義を考えた。
市民団体が14年から運営する仙台自主夜間中学には義務教育を十分に受けられなかった幅広い年代の生徒が集う。授業は週1回。八巻記者は昨年11月から毎週通った。コミュニケーションが苦手な生徒とも授業の合間に雑談し、心をほぐしていった。
「十分に学べなかった過去に負い目を感じている生徒が多い」と八巻記者。初回は長い文章を読むのが苦手で授業についていけず、中学になじめなかった人を紹介した。
初めは取材を断られたが「話したくないことは話さなくていい」と寄り添った。時間を掛けて、ずっと胸に秘めていた思いを聞き出した。「基礎の基礎から勉強をやり直したい。自分を変えたい」
夜間中学で教える山田和行さん(64)は、設立直後から運営に携わるボランティアの一人で元教員。市立中の校長時代の卒業式、1枚の卒業証書が手元に残った。不登校の女子生徒のものだった。家庭環境や友人関係、学習状況などさまざまな理由で学校に行けない生徒がいる。「学ぶ権利を保障する場所を作れないものか」。一つの試みが自主夜間中学だった。
外国人への日本語教育にも力を入れる公立夜間中学とのすみ分けという課題はあるものの「一人一人のペースや目的に合わせられる自主夜間中学のニーズはなくならない」と代表者は語る。今春、報道部から青森総局に移った八巻記者は「仙台に戻ったらあらためて取材したい」と話した。(工)