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2018年 9月11日
転入促進からファン作りへ
福井「増やせ! 関係人口 観光以上、移住未満。」
人口減少に直面する全国の自治体が移住者獲得にしのぎを削る。しかし総人口が減る中、移住希望者の増加は見通しにくい。そこで注目を集めるのが「関係人口」を増やす取り組みだ。社会部の細川善弘記者が先行事例を追った。8月14日付から全7回。
関係人口とは、定期的に通ったり、活性化を手伝ったりする人を指す。県東部の大野市は昨年12月から「大野との関わり方」をテーマに全5回の講座を開いた。首都圏在住者ら10人が参加し、東京でのセミナーや2泊3日の現地実習を通して地域活性化のための知恵を出し合った。
各自治体が特産品や助成金を売りに移住者を募る中、大野市の講座は移住を前提としないファン作りを目標に掲げる。講座担当者は「地域との濃いつながりを求める人が集まり、従来の移住推進策よりも効果が高い」と話す。
参加者の1人は講座修了後も連休を利用して大野を訪れ、釣りやバーベキューを通じ地域住民との親交を深める。研究のため1年間の移住を決めた大学生も現われた。現在2期目の講座が開かれている。
記事では観光案内所ならぬ「関係案内所」の必要性を提起した。宿泊者と地域の人を結びつける福井市内のゲストハウスを例に挙げた。バーの常連客との交流を楽しみ、2日間の滞在予定を2週間に伸ばした神奈川県からの旅行者が「また帰ってきます」と福井を後にしたエピソードを伝えた。
先進事例の紹介を通じ「関係人口増加策への理解者を増やしたい」と細川氏。自身も地域活性化に向け、福井市中心部の空きビル再生に取り組む社の活動に携わってきた。県外への情報発信も含め「福井県ファンを増やすために地元紙が果たす役割は大きい」と述べた。(路)