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2019年 4月9日
共生の始まりは関心持つこと
河北「となりのムスリム 仙台 暮らし事情」
留学や就業などのためにイスラム圏から仙台市を訪れる人々が増えている。礼拝や食事、言語など文化が異なる社会で生きるイスラム教徒(ムスリム)。取材当時1年目だった報道部・坂本光記者(現在は盛岡総局)がその日常を追った。3月20日付夕刊から全5回。
坂本記者は学生時代、日本思想史を扱う研究室に所属した。留学生が多かったことから、外国人との共生に着眼。イスラム教とテロが結び付くような報道が多い現状や「そもそもどんな宗教なのかを解説する記事が少ない」ことに疑問を感じていたという。
イスラム教は毎週金曜の集団礼拝と1日5回の礼拝を義務付ける。日本人男性が代表を務める市内唯一のモスク(礼拝所)にはパキスタン、インドネシアなど多様な国籍の約80人が集う。交通の便は悪い。至る所にモスクがある母国と違い、不便を強いられるエジプト人留学生の嘆きを伝えた。
ムスリムが街中で邪魔にならない場所を探しマットを敷いて礼拝すると、好奇の目で見られることも。それは「日本特有のこと」と取材中に言われた坂本記者。「受け入れられているのか分からず、不安だ」との言葉が印象に残っているという。「排他的な風潮に疑問を投げ掛けたかった」
2月まで仙台市でエンジニアとして働いたインド人男性は職場の人間関係に恵まれたが、残業で聖典コーランを学ぶ時間が取れず、充実した宗教生活を続けられなかった。「イスラム教とムスリムがどういうものか、もっと知られればいい」との言葉を残し、今春帰国したと伝えた。
ムスリムが日本人の無理解を嘆いてばかりいるわけではない。「理解してほしい」との思いを持ちながら、現状を受け入れ楽しく生きている人も多い。彼らの声に耳を傾け「興味を持つことが共生の第一歩だ」と坂本記者は語った。(斎)