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2021年 5月25日
善意頼み 自治体の支援急務
上毛「心つないで 医療通訳の今」
高崎市のシャゴワ・アリ・アシンさん(52)はパキスタン出身。一時期、新型コロナウイルス感染者用の療養施設に滞在する外国人への通訳依頼が増えた。「食べられるものがあることを説明するだけで、安心してもらえる」。パキスタンやネパール、インド出身者は宗教上の理由で口にできない食材があるからだ。
群馬県に住む外国人は114か国約6万1千人。彼らが日本の医療機関を受診する際、通訳を担うのはシャゴワさんのようなボランティアがほとんど。報道部の臂真理緒記者が、不安定な医療通訳派遣の現状を伝えた。「ボランティアの善意に頼る活動が、自治体の支援を得られるように」(臂記者)するため、4月21日付から計3回の連載で問題提起した。
医療通訳ボランティアの派遣は「群馬の医療と言語・文化を考える会」が担う。登録者は約90人で、15言語に対応している。日系人や、日本人と結婚し移住してきた外国人が多い。職場の理解が得られない人などもおり、実際に活動しているのは30人程度。
看護師として県内の病院で働きながら、他の医療機関からの依頼に応じるペルー国籍の女性も紹介した。通訳費は2時間で3千円。派遣先によってはほとんどが往復のガソリン代に消える。
がんなどの重い病気を患者に伝える際には、言葉を慎重に選ばなければならず、精神的な負荷もかかる。だが、ボランティアたちは責任感が強く、不満や要望を口にしない。彼らのストレスを軽減する支援がないか、臂記者も頭を抱えたという。
外国人居住者が増えるにつれ、医療通訳の需要も高まる。医療通訳の重要性を自治体が周知してほしい、と臂記者は話す。記事には「群馬を選んで外国から来てくれた人たちが幸せに暮らしてほしい」との思いも込めた。(阿)