2021年 6月22日
いじめ根絶 大人の関心が鍵

山形「オンラインゲーム 画面に向かう子どもたち」

 山形県内在住の小学6年男児は、同級生から「雑魚」「死ね」とののしられた。オンラインのサバイバルゲームで遊んでいたときのこと。ゲームは友達と2人で始めた。メンバーが増えるにつれ、男児が嫌がらせの的となった。仲が良かった友達も男児をばかにし始め、今では疎遠になっている。

 大人の目が届かないオンラインゲームの世界で、暴言を受けたり仲間外れにされたりして苦しむ子供が増えている。報道部の川島美穂記者らが、ゲームに熱中する子供の実情を探った。5月27日付から全3回。

 ゲームを通じて人間関係が崩れるのはなぜか。川島記者は、子供のコミュニティーが狭く、現実世界と重なりやすいためだとみる。「空気が読めない言動」を理由にいじめが起きる構図は学校もオンラインも同じ。ゲームを習い事と位置付けて子供に教えるゲムトレ(東京都渋谷区)の小幡和輝代表は、荒い口調でゲームを実況する投稿動画の悪影響を指摘する。

 ゲームのプロとして活動する山形市の高校生の「ゲームは楽しむためのもの。割り切って、気持ちを引きずらないことが大事だ」との助言も紹介した。

 しかし、子供自身の心構えだけで問題は解決しない。川島記者は「親や教員がもっと関心を持つべきだ」と訴える。ゲームとの付き合い方について、家庭や学校で大人も議論しなければ、ゲーム絡みのいじめや嫌がらせはなくならない。「例えば学校教育で『こういう言葉をぶつけると相手が傷つく』ということを認識させる取り組みがあればよい」と語った。

 ゲームは子供たちにとって重要なコミュニケーションの手段。疎いからと目を背けるのではなく、まずは子供とゲームを巡る現状を知り、向き合うきっかけにしてほしいとの思いを連載に込めた。(遼)

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